この記事をまとめると
■日本中の道路で毎日事故渋滞が発生している
■事故を起こしてもガードレールなどの物損事故以外は損害賠償請求されない
■道路は事故などによる渋滞が起こることを前提で運用されており返金や減額もされない
事故起こしたとき損害賠償請求はされる?
週末になると、毎週どこかで確実に発生している事故渋滞。スイスイ進めばなんてことのない距離なのに、目的地への到着が大幅に遅れて予定が台無しに。ストレスは溜まるし、疲労感で身体もヘロヘロ……。事故渋滞ということは、事故の原因を作ったドライバーが原則いるわけで、その人のせいで大勢の人が迷惑を被っているのだから、当然、責任が問われてもおかしくない。
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鉄道の事故では、加害者の「故意又は過失」によって遅延が生じた場合など、多額の損害賠償請求をされるといわれているので、高速道路で事故を起こし、通行止めなどを生じさせたときも、賠償金が請求されてしかるべし、と考える人もいるだろう。
しかし、高速道路で大きな事故を起こしたとしても、NEXCOなどから請求されるのは、損傷させたガードレールなど対物保障費用に限られているのが実情だ。
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その理由は、NEXCO東日本のHPのQ&Aコーナーに次のように書かれていた。
Q:なぜ事故を起こした原因者に渋滞などによる損害賠償を請求しないのですか。
A:原因者負担金として請求できるものは、物理的損失の現状復旧に関した費用と解されます。従って、通行止めを余儀なくされた場合の料金収入の減収については、あくまでも想定上のものであるため、負担命令の対象とはなりません。
高速道路はつねに、渋滞、事故、故障の可能性がある施設なので利用する以上、それらのリスクは織り込み済みであり、それについて賠償を求めるのは切りがなく、ナンセンスだという判断がなされたのだろう(請求されたら、保険会社だって保証しきれない……)。
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NEXCOの供用約款にも、「通行止め」「渋滞による遅滞」による損失については、高速道路会社は責任を負わないと、はっきり、くっきり書かれている(東日本高速道路株式会社供用約款 第10条)ので、利用者側も渋滞による損失を、請求する権利はない。
NEXCO中日本のHPのよくある質問から、もうひとつQ&Aを見てもらいたい。
Q:渋滞で余分に時間がかかりました。高速道路の料金は減額・免除してくれないのですか?
A:高速道路の通行料金は、高速道路をご利用いただいたことに対する対価としていただいているものであり、JR等の特急料金のように所要時間の保証という性格を含んだものではございません。したがいまして、渋滞による遅滞に伴う通行料金の減額・免除は行っておりません。ご利用にあたりましては、渋滞情報をご確認いただきますようよろしくお願いいたします。
つまり、高速道路の通行料金は、利用距離に応じたもので、利用時間は無関係だということ。そして、事故渋滞を含む、各種の渋滞による損害は、物理的な損失ではなく、想定上のものであるので、原因者負担金に含まれず、渋滞に巻き込まれた利用者にも返金、減額、免除は行わないことが、現状の決まりになっているのだ。