運転士不足にあえぐ地方のバス会社がTikTokで一発逆転! 1年で30名もの採用実績を作れたワケ

この記事をまとめると

■トラックと同様にバス業界も運転士不足が深刻化し地方で減便や路線廃止が相次いでいる

■中小事業者は待遇で大手に及ばず応募が集まりにくいという構造的な弱さを抱えている

■神姫バスはTikTokでリアルな職場像を発信し1年で30名を採用する成果を上げた

「待遇だけでは人は来ない」という現実

「物流の2024年問題」がきっかけとなり、現場を担うトラック運転手不足は深刻化している。これはバス業界も同様で、運転士が確保できないことから減便や路線廃止が各所で発生しているのだ。子どものころ、誰もが1度は憧れた覚えがあるであろうバス運転士に、どうして応募者が少ないのであろうか。

 就職や転職を考えるとき、応募の候補に挙がる要素として重要なのは、福利厚生・給与などといった待遇面であろう。そうなると、大手事業者が圧倒的に有利になる。バス業界でいえば、自治体や大手鉄道系のバス事業者だ。バス事業は決して儲かるものではない。公共性が高いので、赤字路線でも簡単に廃止することができないのだ。こういった事情から、地方都市を中心に路線をもつ中小バス事業者は、運転士をはじめとする従業員の待遇を大手事業者と同水準にするのは、なかなか難しいのである。

 神姫バスは、姫路市など兵庫県を中心に多くの路線を展開するバス会社だ。地元では有名だが、路線のない地域では知る人があまりいない。同社もご多分に漏れず運転士不足が深刻で、さまざまなチャンネルで採用活動を展開していたが、その成果はいまひとつであったという。そこで、動画に特化したSNSであるTikTok(ティックトック)を利用して採用活動を行ったところ、応募者数が伸びて2024年には30名の採用につながったのだ。

 SNSで意図的に投稿をバズらせる、あるいはミーム化させるのは簡単なことではない。なぜなら、不特定多数の視聴者がもつそれらの引き金は、どこにあるのか簡単にはわからないからだ。しかし、視聴者を絞って彼らが求める情報を的確に伝えれば、相応の反応を得ることができる。この場合であれば、バスの運転士になろうと思う人たちの求める情報が何であるかを把握する必要があるということだ。

 先にも触れたとおり待遇面は大切であるが、大手事業者のそれを超えるのは簡単ではない。ただ、待遇さえよければ応募者が満足するわけではなく、事業内容・将来性・会社の雰囲気なども応募動機となる重要な要素といえる。そこで神姫バスでは、TikTokに「バス運転士のリアルな1日」「100年企業の最新研修」「先輩が語る自分が変わった瞬間」「運行準備や整備の舞台裏」などといった動画をアップ。これらの動画について、「盛らない」「飾らない」「嘘をつかない」というコンセプトのもと、ありのままの姿を配信したのだ。

 その結果としてフォロワーは2万人を超え、動画の評価である「いいね」は47万5000件に達した。これが実際の応募につながって、前述のように1年で30人の運転士を確保することができたのである。バスの運転士を職業として考えている視聴者にとって、等身大の職場動画は、自分が実際に運転士になった状況をリアルに思い浮かべさせてくれる。職場の実態を知ることで、そこに行ってみたいと思えるのである。イメージ戦略は重要だが、実態とかけ離れていては何にもならない。地方でまじめに頑張るバス事業者の飾らない動画が、応募者の心に響いたということだろう。


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