この記事をまとめると
■全国で長期未返却や乗り捨て、売却詐欺などレンタカー乗り逃げ事件が繰り返されている
■返却を無視してクルマを占有すれば横領罪が成立し、返す意思がない借用は詐欺罪に発展する
■人として当然のことであるが最低限のルールを守ることが求められる
最低限の時間と契約の遵守がなされていない現実
「借りたものは返す」。子どもでもわかる常識だが、レンタカー貸出中の乗り逃げ事件は定期的に発生しているようだ。
ニュースになった主な事件でも、2003年に岩手県で男女が24時間で契約をしたレンタカーを半年間乗り逃げしていた事件や、2010年に免許証記載の住所が現住所とは異なり緊急連絡先の勤務先も半年前に退職していたレンタカー盗難事件、2020年の返却期限を1年超えても返さなかった事件、2022年に契約期限後に連絡が取れなくなり半年たっても返却せずそのまま乗りまわしていた事件、そして2025年には、神奈川県の主婦による「レンタカー乗り逃げ&売却」詐欺事件などが発生している。
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極めつけは、2023年に長野県の諏訪市でレンタカーを借りて、当日返却の予定にもかかわらずそのまま姿を消し、5日後に1300km離れた大分県で大型トラックと衝突して乗り逃げ! 犯人はその後、複数のレンタカーを借りて、各地で乗り捨て。最後は東京・池袋で酒気帯び運転で横転事故を起こし、逮捕されたという。
レンタカーを借りたまま期限内までに返さなければ当然事件となり、レンタカー会社が警察に訴えれば逮捕される可能性も十分あり得る。レンタカーを乗り逃げしたり、返却期限を過ぎても勝手に乗りまわしているとしたら、どのような罪に問われるのか。
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まず考えられるのは横領罪。横領罪は「自己の占有する他人の物を横領した人」が対象で、レンタカー会社の所有するクルマを契約に反して専有していたとなれば、条件に当てはまる。あとから「返すつもりだった」と主張しても、返却期間を無視しつづけたとすれば逮捕や起訴されてもおかしくはない。横領罪のペナルティは、5年以下の懲役だ。
さらに、レンタカーを返却する気がないのに借りて乗り逃げしていたとすると、詐欺罪になる。詐欺罪は横領罪より重いので、詐欺罪が確定すると10年以下の懲役が科せられる。
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なんらかの事情で約束した返却期間までにレンタカーが返せなくなったときは、必ずレンタカー会社に一報を入れること。そして契約どおり遅延金を支払えば事件に発展することはないだろうが、遅延の連絡をしたとしても、何度も使用期間を延ばしたりレンタル代の支払いが滞るということがあれば、警察に被害届を出されて逮捕や起訴につながることもある。
時間とお金の約束は守ること。社会人として、大人として、人として、最低限のルールを守ることが第一だ。