港湾保安が生んだ特別区域の実態
話をもとに戻そう。実際にSOLAS指定地域に出向いてみると、警備が厳重であることがわかる。通常、立入禁止エリアなら金網はあっても鉄条網はない。しかし、SOLAS指定地域はがっちりとした門や鉄条網、監視カメラなどが設置され、部外者が簡単には入れないようにしてある。
埠頭といえばトラックが縦横無尽に走りまわっているのが当たり前だが、このSOLAS指定地域を外から見るに、少しだけ大人しい雰囲気があったのは気のせいだろうか。こうした特別な地域だが、川崎港の場合はSOLAS指定地域について制限の記述があったので紹介しておこう。
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陸上の制限
フェンス・ゲートで区切られた国際航海船舶が着岸する制限区域内の港湾施設(岸壁等)への立ち入りが制限されている。これまでにも、川崎港公共埠頭において港湾施設は、港湾関係者以外の立入りは禁止されていたが、さらに港湾関係者以外の制限区域の立ち入りが強化されている。
海上の制限
川崎港の民間施設も含めたフェンス・ゲートで囲まれた制限区域内にある港湾施設(岸壁等)に、海上から船舶などで接近することが禁止された。目安として、岸壁から30メートル以内は接近禁止だ。また、国際航海船舶が着岸している場合は、その船から30メートル以内の水域への接近が禁止されている(ただし、当該船舶へ接近する正当な理由を有している場合は除く)。
上空の制限
川崎港の民間施設も含めたフェンス・ゲートで囲まれた制限区域内にある港湾施設(岸壁等)に、上空から無人航空機(ドローン)などで侵入することが禁止されている。また、国際航海船舶が着岸している場合は、30メートル以内の水域に接近することが禁止されている。
このように、上空にまで制限のある特別な区域だということがうかがえる。埠頭や港湾エリアは、非日常の風景が見られる魅力的な場所ではあるが、くれぐれも立入禁止エリアに関しては注意して見学してほしい。