この記事をまとめると
■SOLAS指定地域は港湾でもっとも厳重に管理される特別保安区域である
■「タイタニック」の事故を契機に成立した国際的安全条約が基盤となる
■川崎港では陸海空すべてで立入制限が強化され独自の規定が存在する
港湾における最厳重保安エリア
物流の起点となる埠頭は巨大な倉庫や物流センターが立ち並ぶ場所だが、港湾関係者以外は立ち入り禁止の場所がある。たいがいは立ち入り禁止の看板が置かれていたり、守衛小屋が建っており、入口に進入車両をチェックするスタッフが配置されているなどの処置が取られている。
しかし、そうした立入禁止区域のなかでもとくに厳重に管理されているのが「SOLAS指定地域」だ。このエリアに設置してある看板には警察への通報と書かれており、ほかの立入禁止エリアとは明らかに厳重に管理されていることがわかる。
SORASの立ち入り禁止エリア画像はこちら
ではこのSOLASとはいったいなんなのかを説明していこう。SOLAS(ソーラス)条約が制定されたのは1914年まで遡る。きっかけはあの有名なタイタニック号沈没事件だ。1912年4月14日夜半、北大西洋のニューファウンドランド沖をアメリカへの処女航海中であったタイタニック号が流氷と衝突し沈没。2200人を越える乗船者中約1500人の犠牲者を出した。
このタイタニック号の海難事故を契機として、各国がそれぞれの国内法により規定していた船舶の安全性確保について、条約の形で国際的に取り決める気運が高まった結果、「海上における人命の安全のための国際会議」として船舶の安全性を確保するための国際的なルールが生まれた。これがSOLASだ。
その後、2001年のアメリカ同時多発テロをきっかけに改正され、国際航海船舶と国際港湾施設の保安対策の強化を目的に、多くの港湾施設が立ち入り禁止となったという経緯がある。つまり、SOLAS指定地域は単なる立入禁止区域ではなく、テロや海難事故に対する重要な意味をもつということだ。
SORAS付近の物流のイメージ画像はこちら
余談ではあるが、SOLAS条約に基づく「国際船舶・港湾保全法」が制定されたことによって、多くの釣り場が立ち入り禁止になったという事実もある。それまで釣り場となっていた多くの港湾や岸壁が立ち入り禁止になったが、この立ち入り制限は国際的な協定に基づくため、解除は難しいのだ。