この記事をまとめると
■トヨタがGRブランドから4A-GEエンジンの部品をラインアップした
■シリンダーヘッドサブアッシーとシリンダーブロックサブアッシーを復刻
■AE86は世界的にも人気の高いクルマだけにその需要は高そうだ
GRヘリテージパーツプロジェクトの新作は4A-GE
いつまでも、このクルマとともに生きていきたい。そうしたファンからの熱い声をしっかり受け止めたトヨタが、GRブランドから新たな復刻部品をラインアップした。対象は、4A-GEエンジン。トヨタガズーレーシングの「GRヘリテージパーツプロジェクト」の一環だ。
いまさら説明の必要はないだろうが、4A-GEはトヨタ「AE86(カローラレビン・スプリンタートレノ)」に搭載された名機。4A-GEに注目が集まったのは、レビンとトレノの現役時代である1980年代だけではない。そう、1990年代中盤から2000年代初頭にかけて多くのファンを魅了した「頭文字D(イニシャル・ディー)」(しげの秀一作)の影響が極めて強い。アフターマーケットで、レビンやトレノをチューニングする人も増え、そのため4A-GE関連のパーツも出まわるようになった。
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そうした背景もあり、今回の復刻パーツは「頭文字D 30th アニバーサリー2days」で展示され、先行予約を開始。トヨタによれば、GRヘリテージパーツプロジェクトは、2025年9月時点で全8車種で200点以上を復刻している。ここでいう復刻とは、すでに販売になっている補給部品を復刻させ、トヨタ(GR)の純正部品として再販売することを指す。
今回復刻が決まったのは、シリンダーヘッドサブアッシーと、シリンダーブロックサブアッシーの2点。スペックとしては当時の設計を踏襲し、さらに最新シミュレーション技術や工法、材料を取り入れて現代化した。
具体的には、シリンダーヘッドサブアッシーでは、燃焼室に切削加工を追加し、鋳肌を残した面積を減らすことで、圧縮比のばらつきから生まれるエンジンの個体差を軽減している。そのほか、取付時の作業性を改善するためにカムキャップのノックピンを全箇所に追加した。
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シリンダーブロックサブアッシーでは、高剛性の鋳鉄を材料したり、またシリンダーボアに新しい技術を使うホーニング処理をすることでボア加工の精度を上げた。
4A-GEのシリンダーブロックサブアッシー画像はこちら
また、ユーザーからの要望に答える形で、シリンダーヘッドサブアッシーでは吸排気ボートの一部肉厚を増やしたほか、AE86以外にFF車でも搭載できるように横置き用のボスとリブを追加という配慮がある。
AE86ファンは国内のみならず海外にも少なくない。とくにアメリカは1990年代末からジャパニーズチューニングカーブームを発端に、現在はいわゆる「25年ルール」によって日本から右ハンドル車を輸入する流れが定着している状況だ。そのため、4A-GEの復刻パーツの需要が高いはず。
トヨタ旧車を愛する世界各地の人たちのために、GRヘリテージパーツプロジェクトのさらなる拡充を期待したい。