この記事をまとめると
■ロールケージはクラッシュの際にドライバーの生存空間を確保する役割を持つ
■オープンカーにはファッションバーと呼ばれるロールケージ風のアイテムが存在する
■万が一のクラッシュの際にはあまり役に立たないことが多いので注意が必要だ
オープンカーでお馴染みのファッションバーとは
レーシングカーなどに見られる車内に張り巡らされるパイプ類のことをロールケージといい、ボディ剛性アップという副産物もあるが、主にクラッシュしたときにドライバーの生存空間を確保するために装着されるものとなっている。
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現在もさまざまなカテゴリのレース車両に装着されているが、とくに公道をコースに競技を行うラリーでは、コースアウト時に横転どころか何回転かするようなクラッシュも珍しくない。そんなときもロールケージが入っていれば、ルーフがペシャンコにつぶれたりせずにしっかり空間が確保されていることを、映像などで確認することができる。
ところでちょっと古めのオープンカーなどには、シート後方に逆Uの字型のものや、ロールケージ風のアイテムが装着されているのを見かける。こちらの多くはファッションバーとも呼ばれているのだが、その違いは強度にある。
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一般的なロールケージやロールバーと呼ばれるものは、前述したようにクラッシュしたときにも強固にスペースを確保できるように、スチールやクロモリといった強度の高い材質で作られており、取付も強度の高いフロアに当て板をプラスしてボルトナットや溶接などを用いて固定されているのだ。
一方、ファッションバーと呼ばれるものは、軽量なアルミ製であったり、取付もそこまで強度のない場所にネジなどで簡単に固定されているだけなことがほとんどであるため、万が一横転などをした場合はそのまま潰れてしまったり、取り付け部を貫通してしまったりして空間が確保されない可能性があるもので、まさに“ファッション”のために装着されるものとなっている。
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ちなみに車内に張り巡らされる6点式以上のロールケージにもアルミ製のものが存在しているが、メーカーによっては、アルミ製のロールケージはスチールやクロモリに比べて圧倒的に強度が低く、パッと見は本格的に見える6点以上のものであっても、クラッシュ時の生存空間確保には寄与しないといい切っているところもあるほど。
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ただ、その分だけ軽量であることも間違いなく、一般的なスチール製6点式ロールケージが約22kg前後であるのに対し、アルミ製になるとおよそ3分の1の約7kg前後になるので、完全にファッションであることを理解して装着する分には、重量増のデメリットを避けることができる……という面はあるといえるだろう。