セダンなのに左右のリヤドアが非対称! タクシー・乗用・パトカー仕様まで登場した「日産クルー」を知ってるか?

この記事をまとめると

■4ドアセダンでありながら左右のドアのサイズが異なっていたのが日産クルーだ

■タクシー専用車両として誕生したクルーはLPG仕様も存在した

■のちに正統派セダンとして評価され一般乗用モデルもラインアップされた

タクシーでお馴染みだった懐かしき日産クルー

 ファミリーカーとしての使い勝手を重視して、助手席側のみスライドドアを備えたり、ワンツードアと呼ばれる運転席側1枚、助手席側2枚のドアを備えたりするモデルは存在していたが、左右に2枚ずつのドアを備える4ドアセダンでありながら、左右のドアサイズが異なるモデルが存在していた。それが日産クルーである。

 1993年7月に登場したクルーは、それまでローレルやブルーバードに設定されていたタクシー仕様を集約した、より専用的な車種としてリリースされた。

 シャシーはそれまでタクシー用途で高い信頼性を備えていたモデルたちのものを組み合わせ、信頼性と耐久性、整備性を高めたものを採用しており、駆動方式はFR。搭載エンジンはタクシー用途が主ということで、LPG仕様の直列4気筒2リッターのNA20P型と、ディーゼル仕様の直列6気筒2.8リッターのRD28型が用意されていた。

 ボディは、タクシーとしての乗降性や室内空間の確保をするために、比較的全高が高めの凸型のセダンボディとなっているだけでなく、タクシーとして乗降頻度の高い助手席側後席ドアが50mm長いサイズとなっていて、開口部を大きく採る左右非対称ボディだったのが最大の特徴だったのだ。

 当初はタクシー用途をメインに想定されていたクルーだったが、5ナンバーサイズで質実剛健な正統派セダンというキャラクターから、1994年1月には「サルーンシリーズ」と名付けられた一般ユースの乗用モデルも追加される。

 こちらには、さすがにLPGやディーゼルエンジンというワケにはいかなかったようで、直列6気筒2リッターのガソリンエンジンであるRB20E型が搭載されている(のちにサルーンシリーズのディーゼルモデルも設定)。

 基本的なスタイルはタクシーモデルと共通だったが、メッキパーツを追加するなど、営業車臭を消す努力も見られていた。

 そして、同年4月にはパトカーのベースとなるパトロールカー仕様(RB20E搭載モデル)の設定や、1996年にはそのクラシカルな佇まいから、ミツオカのガリューのベースとしてもピックアップされている。

 また、6気筒エンジンを搭載し、FRレイアウトかつ5速MTも用意されていて比較的安価だったことから、ドリフト車両のベースとして選ばれることもあり、ターボエンジンなどを換装された個体も見ることができた。

 しかし、もともとガソリンモデルのMT車の販売台数がそこまで多くなかったため、近年ではなかなか見かけることも少なくなってきている。


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小鮒康一 KOBUNA KOICHI

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日産リーフ(2代目)/ユーノス ロードスター/マツダ・ロードスター(2代目) /ホンダS660/ホンダ・オデッセイ(初代)/ 日産パルサー(初代)
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