この記事をまとめると
■ガソリンスタンド外周の溝は消防法で義務付けられた設備だ
■漏れた燃料や洗浄水などを敷地外に流出させない役割を担う
■油水分離槽と連動環することで境汚染や火災リスクを防いでいる
見過ごされがちな安全対策
気づいている人は気づいているだろうが、ガソリンスタンドの周囲にはお城のような「お濠」がある。もちろん、本当のお濠ほど深くて広いものではないが、ガソリンスタンドの敷地の外周には、それなりにゴツい溝が設けられている。これは一体?
この溝は消防法でガソリンスタンドに設置が義務付けられている、危険物等の流出防止措置のひとつ。ガソリンスタンドには、「給油空地又は注油空地に存するいずれの固定給油設備又は固定注油設備から危険物が漏れた場合においても、当該危険物が給油取扱所の外部に流出することなくいずれかの貯留設備に収容されること」という決まりがあり、ガソリンスタンド内でガソリンなどの危険物がこぼれたり、洗浄水などが流れたときに、敷地外あるいは公共の下水に直接流出しないよう、こうした排水溝が設けられているというわけだ。
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この排水溝の構造は、「幅10センチメートル以上、深さ10センチメートル以上で、有効に排水できる構造とし、自動車等の出入りする部分の排水溝の上端及び側面は、鉄枠とするよう指導すること。なお、排水溝の機能を損なわない限りにおいて、グレーチングのふたを設置することは差し支えないこと」と細かく規定されている。
さらにいえば、給油エリア内の床は、ガソリンなどが浸透しにくい素材で舗装されることになっていて、適度な傾斜がつけられている。この傾斜によって、床にこぼれたガソリンなどは溝に集まり、そこから「油水分離槽」(オイルセパレーター)という貯留設備へ誘導する仕組み。
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これらの設備で、ガソリンなどの危険物が下水に流出するのを防ぎ、土壌や水質汚染を防止し、火災のリスクを減らしているというわけだ。
とはいえ、もしも給油中にガソリンなどをこぼしてしまったときには、すぐに店員に報告することを忘れずに。