この記事をまとめると
■オービスは老朽化で撤去対象となってもコストや工事の都合で優先度が低く残る場合がある
■稼働していなくても設置されているだけで速度超過を抑止する効果が期待される
■心理的な抑止力を活かした安全対策として活用されている側面もある
ただ放置されているわけではなく間接的な安全対策にも
「速度違反自動取締装置」、通称「オービス」が導入されたのは1970年代の後半から。最盛期には全国で600カ所以上あったとされているが、いまではその半分以上が耐用年数を過ぎていて、各地で撤去が進んでいる。その一方で、見るからに古く、明らかに稼働していないオービスがいまだに放置されている例もあるようだが、なぜなのだろう?
単純に優先順位が低いから、というのがひとつの理由に挙げられる。老朽化したオービスを撤去するのにはコストもそれなりにかかるし、工事のための交通規制やそのための人員配置も必要になるので、一気に撤去しないで少しずつ進めているといった面もあるだろう。
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また、稼働していなかったとしても、そこにオービスの「箱」があるだけで速度超過に対する注意喚起となって、ドライバーに法定速度を守らせる効果が期待できるのも大きい。事実、北海道と奈良県では、ダミーの可搬式オービスを設置してみたところ速度超過の抑止効果があったと評価され、ニュースになったこともある。
ダミーですらスピード違反や事故防止への抑止力となるのなら、耐用年数切れの旧式オービスを放置しておくことも心理的な抑止力としては十分役立つ可能性はある。稼働していないので違反者の検挙にはつながらないが、本来の目的にはかなっていると考えてもおかしくない。
さらに老朽化したオービスから少し離れたところに新型オービスを設置して、オービスの予告看板を流用したり、旧型のオービスを通り過ぎて油断したところをパチリと撮影⁉ といったケースもあるようだ。
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とはいえ、古い機材が道路わきにいつまでもあるのは安全上好ましいことではないので、稼働していないオービスはこれから随時撤去されていくだろう。ただ現状では、老朽化したオービスでも本当に稼働していないことを確認するには大きなリスクも伴うので、オービスの有無にかかわらずつねに法規を守り、安全運転に徹することを優先しよう。