叩かれるほど魅力が見えてくる! 新型「ホンダ・プレリュード」は不便でもわざわざ選びたくなるスペシャルティクーペだった (2/2ページ)

いまどきのスマートなスポーティ体験

「マニュアルが無い」「ハイブリッドでスポーツは薄味」という声もあるが、そこで出てくるのが「Honda S+ Shift」だ。緻密に制御される仮想の有段トランスミッションをパドルで操作したときの、変速動作の機敏さと自然さは、まるでマニュアルのような変速感覚だ。さらに、メーター表示やアクティブサウンドコントロールとも連動することで、クルマとの一体感が追求されている。

 日常とときめきの世界を行ったり来たりできる、「まわりに迷惑をかけずに自分だけはちゃんと楽しめる」というわがままが真面目に作られている。静かでスマートでも気分は高ぶるという、若かりし頃の激しさを内に秘めた大人のような、そんな次世代のスポーティハイブリッドがプレリュードなのだ。

 ここまでの要素でも、新型プレリュードが一貫したコンセプトによって完成されたクルマであることがわかるだろう。そこであえて、このスタイリングに手を加えるならば、「主張を盛る」ではなく「形を整える」で十分である。

 ホンダアクセスの純正アクセサリーでは、「UNLIMITED GLIDE PLUS SPORTS ESSENCE」をテーマにスポーティさと上級感をワンランクアップさせる、長く乗り続けるためのアイテムを用意する。まさしく、「品よく整える」という純正の足し算だ。

 最後に、価格は1グレードで617万9800円。たしかに安くはないが、結局は気持ちをどこに置くかだろう。コスパに優れたクルマとして買うのか、趣味として腹をくくるのか。高いからこそ、ただの移動手段ではなく「大切な相棒」として扱われる。

 さらに例え所有していなくとも、どれだけの魅力があって憧れの存在となっているのかも大切なことだろう。この世に存在しているだけでも誰かに夢を与える1台。筆者としては、そんな存在がプレリュードだと感じている。

 新型プレリュードはすべての欠点を承知のうえで、「現代で成立する贅沢」を体現させたクルマだ。かつての財産をそのままコピーしたように出すのではなく、過去にとらわれずに自由に生まれ変わった、新世代スペシャルティクーペの「先駆け(プレリュード)」といえる。便利であることが重要視される時代に、このクルマが新車で存在する。その事実こそが、もう十分に価値である。


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