この記事をまとめると
■1月4日は国連承認の「世界点字デー」であり点字の大切さを考える日だ
■日本発祥の点字ブロックは世界各国で交通安全の大きな役割を果たしている
■ドライバー目線でも安全運転をするのための重要な情報になっている
点字ブロックは歩行者だけのものではない
1月4日は「世界点字デー(ワールド・ブライユ・デー)」である。フランスで点字を完成させたルイ・ブライユ氏の誕生日に由来し、国連で承認された国際的な記念日だ。……と聞くと、福祉っぽい話に聞こえるが、じつはドライバーにも関係がある。
理由はシンプルで、点字や点字ブロックは「見えなくても(見にくくても)情報が受け取れる」ようにする仕組みであり、これは交通安全の設計思想そのものだからである。
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街でいちばん身近な点字の仲間が、点字ブロックである。正式には「視覚障害者誘導用ブロック」という。
岡山県の説明によれば、三宅精一氏が1965年に考案し、1967年3月18日に岡山県立岡山盲学校近くの国道で世界初の敷設が行われた。黄色であることも弱視の人が識別しやすいよう配慮したためだという。
置かれている場所を思い出すと、設置した理由がわかりやすい。横断歩道の手前、段差、階段、バス停、駅前、そして踏切付近など、「人の動きが変わる」「危険が近い」ポイントにある。つまり、点字ブロックは、歩行者のための設備であると同時に「この先は歩行者が止まるか、向きを変える可能性が高い」という、ドライバーにも予告してくれる合図でもあるのだ。
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また、点字ブロックは善意だけで置かれているわけではない。形状や配列をそろえて安全性を確保するための、日本国内のJIS規格として整備され、2012年に国際的なISO規格としても認められた。種類は、進む方向を示す棒状の「誘導ブロック」と、階段などの手前で注意を呼びかける「警告ブロック」がある。
いまや70を超える世界各国で活躍する、岡山県から誕生した点字ブロックは、単なるデザインではなく、世界に認められた工学的な交通サインというわけだ。
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点字ブロックが交通安全に関わることを、はっきり示す資料がある。2022年に奈良県で視覚障害者が踏切内で列車と接触して亡くなった事故が発生。そこで国土交通省は、視覚障害者団体や有識者の意見を踏まえてガイドラインを改定した。その内容には、踏切手前の誘導ブロック設置を標準的な整備内容として位置づけるなどの、具体的な対策が記されている。
ここまでくると「点字ブロックを塞がないでね」というお願いの話ではない。「踏めない」「途切れる」「塞がれる」、これらはすべて「命」に関わる。点字ブロックは、交通の仕組みそのものである。
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では、ドライバーとして今日からできることは何か。決して難しいことではない。
・点字ブロックが見えたら「減速しながら周囲に気を配る」
視覚障害をもった歩行者が「止まる」、「振り返る」、「歩く向きが変わる」というように「歩行者の動きが変わる」が起こりやすい地点だからだ。
・停車をするなら「点字ブロックを塞がない」が最優先
コンビニに寄る、配送の路駐、駅の送迎、その「ちょっとだけ停車」が無自覚に視覚障害をもった歩行者の動線を切り、「歩行者を車道側へ追い出す」ことがあるからだ。
・駅前・バス停・踏切は「歩行者が迷うと危険」な場所として構える
誘導が途切れると危険が生まれる場所では、視覚障害をもった歩行者が車道に出てしまう可能性があるからだ。
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世界点字デーは点字の重要性を考える日だ。しかし同時に、ドライバー目線でいえば、「街の情報は視覚だけではない」「情報が途切れると危険が跳ね上がる」という、交通の基本を思い出す日でもある。
点字ブロックはただの黄色いブロックではなく、街が配っている安全のサインである。それを「読める」ドライバーは、周囲も自分も守れるのだ。