この記事をまとめると
■荷待ちは2024年問題を契機に改善が進む一方で施設差が大きい
■商業施設併設倉庫は利用客優先の構造が物流効率を阻害する
■短時間でも積み重なればドライバー負担は深刻になる
商業施設物流が抱える構造的問題
トラックドライバーにとって悩ましい問題のひとつに「荷待ち」がある。これは、トラックが出荷先や着荷先で荷積み・荷降ろしをする際に、その順番待ちなどで長時間待たざるを得なくなることを指している。その原因は複合的だ。道路交通状況によるトラックの早着や遅延といったこともあるが、出荷先や着荷先といった物流倉庫側の事情であることも多い。
とはいえ、「物流の2024年問題」をきっかけに、こういった問題にメスが入れられるようになり、少しずつではあるものの改善の兆しが見られ始めているという。とくに大きな物流倉庫ではトラック用駐車スペースの拡大、プラットホームの増設、トラックの入出庫管理や荷積み・荷降ろし管理のシステム化などが行われ、トラックの入出庫や荷積み・荷降ろしなどが効率よくできるようになり、荷待ち時間が短くなったところが増えつつあるようだ。
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これに対して改善が遅れているといわれているのが、商業施設に併設されている中・小規模の物流倉庫である。こういったところは物流施設の規模がそれほど大きくなく、トラック1台あたりの着荷量も多くはない。そのため、主に中・小型トラックや軽トラックが運送を担う。宅配便のように荷物を混載して配送するトラックだけではなく、商業施設の専用便や自社便がある。
商業施設の物流倉庫が専用の物流倉庫ともっとも違うのは、一般の買い物客が来店するということだ。いい換えれば、物流倉庫が製品・商品のために造られた施設なのに対して、商業施設はユーザーのために存在しているのである。ゆえに、駐車場や施設内道路はユーザーが優先になるし、売り上げ・利益を生む店舗施設にはコストをかけても、付帯施設である物流倉庫部分に対する投資や経費は、極力抑えようという傾向が強くなる。結果的に、物流倉庫の改善が遅れてしまうのだ。
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もっとも大きな問題は、トラックの駐車スペースやプラットホームが少ないことである。商業施設は一般的に日中の営業だから、着荷できる時間帯はその範囲前後に限られて来ることが多い。そのようななかで、総菜や生鮮食品は鮮度が命であるために、営業直前に着荷が集中する傾向にある。ところが、そこに施設の自社便が入ってくれば優先扱いを受けるため、他社便は遠慮をしなければならなくなる。
さらに気にしなければならないのが、ユーザーの目である。プラットフォームの空き待ちで駐車をするにしても、ユーザー用のスペースは乗用車向けなので少し狭いことだ。はみ出して停めたり通路に停めたりすると、すぐに施設にクレームが入って注意を受けてしまう。ちなみに、個性的な装飾をしたトラックもユーザーに不快感を与えるということで、入場を認めていないところが多い。
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このように、商業施設併設の物流倉庫は、キャパシティが小さい、着荷時間が集中しやすい、ユーザーの目を気にしなければならない、という三重苦を抱えている。何時間という長い荷待ちではないものの、数十分でも「物流の2024年問題」を抱えるトラック業界にとっては貴重な時間だ。商業施設の物流倉庫も専用の物流倉庫と同様に、改善に向けて動き出すことが期待されている。