「軽油」や「軽車両」とか……軽ばっかり使うから軽自動車乗りが勘違いする! そもそもなんで「軽自動車」って名前になった?

この記事をまとめると

■軽自動車に「軽」という字がつくことから「軽油」を入れる人がいる

■標識に書かれている「軽車両」を軽自動車だと勘違いしている人もいるようだ

■軽自動車という名称は税金などが安く「軽便な自動車」という意味で名付けられた

軽自動車はなぜ「軽」といわれるのか

 軽自動車に軽油を給油するトラブルは、冗談ではなく、実際に生じている。逆の間違いとして、ディーゼルエンジン車にガソリンを給油する事例も報告されている。

 このようなトラブルは、以前はあまり聞かなかったが、最近は徐々に増えてきた。原因は自分で給油するセルフスタンドの増加だ。給油所(ガソリンスタンド)のスタッフが給油する場合、ミスはほとんど生じないが、ドライバーが自分で操作するセルフでは間違えてしまうリスクが高まる。

 ちなみに最近は、人件費の高騰、燃費性能の優れた車種の増加などにより、給油所の経営が難しくなっている。そのためにセルフスタンドが増えた。

 軽自動車のディーゼルエンジン車は存在しないから、軽自動車に「軽」だからと勘違いして軽油を給油するのは、すべて給油ミスになる。万一、ガソリンエンジン車に軽油を給油したときは、エンジンを始動させず即座に抜かないと、エンジントラブルを発生させる。

 それにしても「軽自動車」と「軽油」は、クルマのことを知らない人にとっては紛らわしいともいえる。「軽自動車用の油」だと思ってしまう。

 進入禁止などの標識の下に「軽車両を除く」と補助標識が付いていることがあり、この「軽車両」も紛らわしい。「軽車両」とは、基本的には原動機を搭載していない車両のことで、自転車、リヤカーなどの荷車、さらに馬や馬車も含まれる。

 しかし今の道路を実際に走っている軽車両は自転車だけなので、勘違いすることもある。そして進入禁止の標識の下に、「軽車両を除く」と補助標識が付いている場所を軽自動車で進入すれば「通行禁止違反」になる。

 以上のように「軽自動車」というカテゴリーは勘違いされやすい。

 そもそも軽自動車という規格は、第二次世界大戦が終わった4年後の1949年に生まれた。復興のために、小さくて安価で、税金も安い車両を用意するための規格だ。つまり手軽に使える「軽便な自動車」という意味で軽自動車と命名された。

 1949年当時の軽自動車規格は、全長が2.8m、全幅は1m、全高は2mという内容で、エンジン排気量は2サイクルが100cc、4サイクルでも150ccだから、該当する車両は主に3輪トラックだった。1950年には、軽自動車のボディサイズが全長は3m以下、全幅は1.3m以下に広がる。1952年には16歳から取得できる軽自動車限定の運転免許もできて、中学校を卒業して就職した人が仕事をしやすくなった。

 エンジン排気量は、このあとも変遷を繰り返して、1955年にが2サイクル、4サイクルともに360ccになった。この排気量の規格は、全長が3m以下、全幅は1.3m以下のボディサイズと併せて1976年まで使われた。

 以上のように軽自動車は、ボディが小さくて軽く、税負担も軽い軽便な自動車として生まれたが、今では国内販売総数の40%近くを占める。デリカミニの室内空間は、小型車の平均水準を上まわり、最上級グレードの価格は290万円に達する。もはや軽便とはいえないが、今さら名称を変えると混乱も招くだろう。

 ミスや勘違いを防ぐためには「軽車両を除く」という補助標識を「自転車等の軽車両を除く」に変えたり、セルフスタンドの軽油の表記を分かりやすくするなどの対策が有効だ。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
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13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
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