「環境性能割」廃止はユーザーの需要を喚起するけど「いま」クルマが売れなくなる! ディーラーが抱える年度末の苦悩 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ガソリン暫定税率廃止や環境性能割の廃止によりユーザー負担は確実に軽減される

■一方で登録時期による税額差が生じ年度末の買い控えや販売停滞といった懸念も存在

■補助金空白期間や受注残対応など現場は板挟み状態に置かれている

環境性能割廃止はユーザーにとっては朗報だが……

 新政権となってからクルマユーザーとしては朗報が相次いでいる。まずは2025年12月31日をもっておよそ50年間続いたガソリン税に上乗せされていた暫定税率が廃止された(これに先立ち、すでに2025年12月11日より暫定税率と同水準のとなる25.1円の補助金が支給されていた)。

 2026年1月4日時点で調べると、全国平均でのレギュラーガソリン1リットル当たりの価格は151.6 円となっており、もっとも安いのは愛知県で144.5円/Lとなっていた。「それでもまだ高いのでは?」と考えるひともいるだろうが、税金が原資となる補助金(なくなればもとに戻る可能性あり)ではなく暫定税率廃止に基づいてガソリン価格が下がるという点ではうれしい出来事といえるだろう。

 さらに、2025年12月19日、自民党(自由民主党)と日本維新の会は、2026年度与党税制大綱を発表したのだが、そのなかでクルマを取得したときに支払う“自動車税環境性能割”を2026年3月末で廃止にするとした。

 そしてCEV(クリーン・エネルギー・ビークル)補助金では、2026年1月1日以降初度登録を受ける車両についてはFCEV(燃料電池車)の補助金が105万減額され150万円になるのに対し、BEV(バッテリー電気自動車)は上限額を40万円アップして130万円、PHEV(プラグインハイブリッド車)は上限額を25万円アップして85万円とする見直しが発表された。

「新車が高くて買えない」との声を多く聞くなか、多方面でクルマに乗りやすく、そして買いやすくなる(売りやすくなる)ことになるので、販売現場は歓迎しているかと思いきや、不安の気もちが大きくなっているようである。

 まず不安視しているのが環境性能割の廃止である。現状、売れ筋となるHEV(ハイブリッド車)ではそもそも環境性能割は課税されないケースがほとんどのようなのだが(HEVだから必ず非課税というものでもない)、ガソリン車、とくに登録車ではコンパクトカーでも意外なほど負担が大きい。

 たとえばHEVとガソリン車がラインアップされているトヨタ・ライズのZグレード(FF)では、HEVでは環境性能割は非課税となるのだが、ガソリン車は3万6200円課税されてしまう。車両価格ではHEVが28万9300円高くなってしまうので、それでもガソリン車を選ぶひともいるようである(ライズ内で1.2Z ガソリン車は人気ナンバー2)。ちなみに調べると、本稿執筆時点ではライズは発注可能で、納車予定は2026年5月ごろとなっていた。

 仮に2026年3月まで、つまり2025事業年度内に納車が可能なクルマがあったとする。さらに値引きなどの条件が際立ってよくなるのならともかく、現状では諸物価高騰もあり値引きも際立った拡大が期待できないとする。そうなると、納車が早いのを魅力と感じながらも「それなら環境性能割がなくなってから注文を入れる」となってしまい、年間でもっともクルマが売れるとされる事業年度末セールにおいて買い控えがおきないかを、販売現場は警戒しているのである(最近は全体では納期がそれほどかからない新車も目立つ)。

 受注当初は納車予定が2026年4月や5月であったのに、供給体制の変化などから2026年3月末までに納車可能となってしまうことも意外に多く、販売現場はとにかく警戒を深めている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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