「ハイブリッドは燃費だけ」なんていつの時代の話? 運転の醍醐味を増すイマドキの電動化技術

この記事をまとめると

■ハイブリッドは燃費重視の印象が強かったが加速や走行性能を磨いた車種も登場している

■モーター特性を活かし高速域や瞬発力を重視するモデルが数多く存在する

■HVやEVは運転の楽しさを犠牲にする存在ではなく走りの質を拡張する技術だ

HV=つまらないという固定観念は見直すべき

 1997年に初代プリウスがトヨタから発売され、ハイブリッド車(HV)は環境車として認知を得た。一方、燃料消費を節約してCO2排出量を減らすことを目的としたHVで、スポーツ走行やスポーツカーはあり得るのだろうか? 答えはイエスだ。

 プリウスはトヨタを代表するHVで、最大の特徴は格段の燃費性能にある。初代プリウスの開発目標は、同じガソリン車と比較して燃費を2倍、すなわち燃料消費を半分にすることだった。その目的を達成したのが初代プリウスだ。

 その結果、加速性能などでやや物足りなさがあったのは事実だろう。といっても、日常的な用途で不足するほど加速が悪かったわけではない。壮快な走りを楽しみたいというような運転で、ガソリン車にかなわない場面があった。こうしてHVの運転は楽しくないといった風評が流れた。

 しかし、2012年に発売された2代目オーリスに、プリウスと同じハイブリッド機構が2016年から搭載され、車種追加になった。オーリスはもともと欧州での販売を主力とし日本でも販売されたが、欧州市場は日本に比べ交通の流れが速い。高速道路では時速130kmで走れ、一般道でも郊外では時速80kmで走れる。そこで、HVもより高速性能が求められる。

 日本に導入されたオーリスHVも、欧州市場での性能を受け継いでいるので、HVといえどもかなり鋭い加速をした。その試乗会では、「これでHVなのか」「HVでもこんなに速いのか」という声が聞こえた。もちろんプリウスと比べればそのぶん燃費性能はやや落ちたが、それでもガソリン車と比べれば格段に燃費はよい。ただ、より加速のよい高速性能を重視するため、モーターを加速性能の向上へ活用する制御としているのだ。

 承知のとおり、モーターはエンジンに比べ低速トルクが大きい。ディーゼルエンジンより低回転から大きなトルクを出せる。それを発進加速に活かせば、当然、瞬発力に優れた走りになる。ホンダは、初代インサイトでMTのグレードをCVTのほかに設定していた。HVの発進や加速を、運転者の気もちにあわせられるようにしたのだ。ここにも、HVでスポーツ走行を求めた姿がある。

 海外では、ドイツのポルシェが、タイカンでEVでのスポーツカー像を世に示したが、イタリアのフェラーリは、2013年のラ・フェラーリでHVを採用している。モータースポーツでも、ハイブリッドの技術は活用されている。

 モーターをいかに活用するかは、車種や用途で異なる場合があるが、エンジンだけでなくモーターを併用することにより、燃費を改善することに加え、走りの性能を向上させたり、走りの質を変えたりしながら、運転の醍醐味をさらに拡張することができる。

 HVだから面白くない。EVだからつまらない。そんな話は、HVやEVの本質を見極めない机上の思い込みによる愚痴でしかないのだ。


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御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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