車名から込められた思想を読み解く
ホンダ・オデッセイの「オデッセイ」は、古代ギリシアの長編叙事詩、Odysseia(オデュッセイア)の主人公である英雄Odysseus(オデュッセウス)に由来している。ホンダいわく、オデュッセウスが10年間にわたる冒険物語を体験したように、ロングドライブという冒険旅行を楽しんでほしいとの願いを込めてのネーミングだったという。
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フォルクスワーゲンが北米と中国で販売している大型3列シートSUV「アトラス」は、ティタン(タイタン)神族の巨人に由来する車名。アトラスは、ギリシア神話によれば、最高神ゼウスに反逆した罰として「世界の果てで、天を両肩と頭で永遠に支えること」を命じられた神だ。
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なお、話は若干それるが、最高神とされている「ゼウス」を車名に使うのはさすがにはばかられるのか、ゼウスという車名の量産車は存在しない。だが、某カスタムカーショップは、自社のエアロパーツとコンプリートカーに「ZEUS」の名を使っている。……なかなかの勇気である。
それはさておき、2014年のパリ・モーターショーで発表されたランボルギーニのコンセプトカー「ランボルギーニ・アステリオン」の「アステリオン」は、ギリシア神話に登場する牛頭人身の怪物「ミノタウロス」の本名だ。アステリオンは、牛頭人身ならぬ「5リッターV10エンジン+モーター3基」のプラグインハイブリッド車であったため、どうやらこの名前が選ばれたらしい。中身と見事に合致している車名であり、「ランボさん、なかなかやるやんけ!」と称賛したいネーミングだ。
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アメリカで1977年から1984年まで販売されたポンテアック・フェニックスは、いってみれば割と普通なアメ車の2ドアクーペおよび5ドアハッチバックだったが、それに「フェニックス(不死鳥)」という荘厳すぎる車名を付けるセンスというか図々しさは、謙虚を美徳とする我々日本人も、ちょっとは見習うべきかもしれない。
そしてフェニックス=不死鳥というのは、いまやあまりにも有名で一般的になっている単語ではあるが、これもギリシア神話に由来している。
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もともとは古代エジプトの神話に登場する「聖なる鳥」が原型であるらしいが、そのお話を、古代ギリシアの歴史家であるヘロドロスが著作のなかで「フェニックス」として紹介した。まさかヘロドロスさんも2400年ぐらいあとの世で「フェニックス」という名の微妙な乗り物が登場するなど想像もしていなかったと思うが、まあ人生も人類の歴史も、いろいろである。