格好いい代わりに敷居は高い
しかし、デメリットも結構ある。まず、配線図と睨めっこして、配線を徹底的に間引くという途方もない作業が必要だ。電気に詳しくないと即アウト。また、カスタム視点でいえば、エンジンルームをクリーンにするのがメインで、その副産物として整備性が上がるというのが「ワイヤータック」の特徴なので、エアコンやパワステ(油圧の場合)を取り外して移設キットを利用するほか、何らかの部品を流用するなどして、電動パワーステアリングに変更する場合もある。
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また、ヒューズボックスの移設が必要だったり、こだわり始めると、ラジエターをコアサポート内に隠す必要が出てきたりもする。DIYでやろうとすると、気が狂うほど大変なのは明白。
つまり、圧倒的な格好よさと引き換えに、快適性を犠牲にしなければいけない場合もあるというわけだ。しかし、配線に関しては車種によっては「ワイヤータック」用の配線がリリースされているので、それを使えば幾分かラクになる。しかも軽量化にも繋がる。たかだか配線だが、クルマのハーネスはじつはまあまあ重量があるのだ。
この「ワイヤータック」、アメリカ発祥ということもあってか、ホンダ車(B型エンジン・K型エンジン)に非常に多いのが特徴で、トヨタ車(4A-G)、日産車(SRエンジン)も次点で多い印象だ。
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なお、この「ワイヤータック」を極めると「シェイブドベイ」と呼ばれる手法に行き着く。これは、「ワイヤータック」をしたエンジンルーム内の穴を全部埋めるという技法。エンジンルーム内にはハーネスや各種センサーなどを固定するネジ穴があるので、それをパテやFRPで埋めて塗装するのだ。「ワイヤータック」が芸術品なら、「シェイブドベイ」は美術品といったところ。
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まあ、「ゴチャゴチャしたエンジンルームのほうがメカっぽくて格好いい」という人にも会ったことがあるし、あえてフルオリジナルで、配線には手を出さないなんて人もいるので、「ワイヤータック」が正解ともいい切れないが。カスタムカーは趣味の世界なので、正解がないのがまた奥深いところ。
なお、この「ワイヤータック」の費用は使用するパーツや方法、車種などでさまざまだが、30万円程度からがスタート金額になるという。もちろん、こだわり出したらキリがないのであくまで参考価格だが。
ネオクラシックカーと呼ばれるクルマは、経年劣化で配線がダメージを負っていたりする可能性もあるので、「格好よさ」「整備性」「信頼性」を確保したいなら、「ワイヤータック」なんて手法もアリかもしれない。とはいえ、流行っているという理由だけで手を出すにはなかなか敷居が高いのだが……。