フォードがセダンを復活させる! その背景に見え隠れする「SUV」の価格の高さ (2/2ページ)

アメリカでセダンが売れていないわけではない

 ただし、アメリカにおける2025暦年(2025年1〜12月)締めでの年間新車販売台数でみると、トヨタ・カムリは31万6185台、ホンダ・アコード15万196台、日産アルティマ9万3268台をそれぞれ販売している。

 トヨタRAV4の47万9288台とカムリを比較しても、アメリカン3のようにラインアップをやめると判断するほどセダンが全然売れないというようにも見えない。アメリカン3がセダンのラインアップをほぼやめているので、そこの需要が日系セダンに流れてきているともいえるが、アメリカでも中西部(シカゴ周辺など)では、東西両沿岸部などを中心にクロスオーバーSUV人気が定着するなかでも、セダン需要に根強いものがあり、いまでも過去ほどではないものの、その傾向は根強く残っているようである。

 また、2024年比で2025年の販売実績をみると、わずかながらセダンのほうが前年比でのプラス幅が大きくなっている。新車が高いというなかで、少しでも負担を減らしたいといったことからセダン需要が回復しようとしているのかもしれない。

 フォードCEOの発言に関する報道では、アメリカ国内における平均新車販売価格の上昇懸念もセダンの復活を完全否定しなかったことの背景にあるのではと分析していた。アメリカにおける新車の平均販売価格は5万ドル(約800万円)となっている。円安傾向なので円換算すると驚くべき数字となるが、ドルで見ても5万ドルはさすがに高いといわざるをえない。日本でも「新車が高くてなかなか買えない」という声が目立ってきているが、激しいインフレ状況下にあるアメリカでは、そのレベルの違いというものを感じる。

 少し前にドナルド・トランプアメリカ合衆国大統領が、日本の軽自動車におおいに興味を示しているとの報道があった。今回のフォードの話でも、根底にあるのはアメリカにおける新車販売価格の上昇対策があるのかもしれない。たとえばアメリカにおけるカムリとRAV4のスタート価格で比較すると、約2000ドル(約32万円)カムリのほうが安くなっている。

 日産はアメリカにおいてカローラサイズとなるセントラより小さいセダンとしてバーサをラインアップしているが、このバーサのスタート価格は1万7390ドル(約278万円)となっている。ここへきて2万ドルを切るモデルを積極的にラインアップすべきではないかという動きが出てきているようにも見える。

 フォードでは確認できなかったが、シボレーやダッジのメキシコのウェブサイトをみると、カローラクラスならカローラ同等、バーサクラスならバーサより若干価格の安いコンパクトセダンがラインアップされているのだが、トランプ関税の影響で、メキシコからアメリカへの自動車輸出自体が減少傾向にあるなか、さらにこれらのモデルは中国製つまり中国メーカー車のOEM(相手先ブランド供給)車となっているので、トランプ政権のうちにはアメリカ国内で展開することはかなり厳しい状況にあるようにも見える。

 新車が高くなったという印象は日本だけではないようである。新車が買えないのなら中古車へという動きもあるが、これも日米共通で中古車価格も上昇傾向にあり、モノによっては新車並みの価格となっていることも多い。日本でも、軽自動車すら支払総額で250万円から300万円に達する例も珍しくなくなってきた。日本でもボディタイプにこだわらず、価格破壊的な新車というものが今後注目されてくるかもしれない。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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