百戦錬磨のトラックドライバーでも超長距離運転は危ない! そこで「SAでドライバーのバトンタッチ」の実験を行ったら効果十分だった

この記事をまとめると

■長距離トラックのドライバー交代を行う実証実験を実施中

■ひとりの運転時間を短縮し負担軽減と安全向上を図る

■一般道走行が減ることで事故リスクとCO2排出を抑える効果も期待できる

ドライバーの負担もCO2も減らす

「物流の2024年問題」により明るみとなったトラックドライバーの過酷な労働環境。とりわけ長距離の大型トラックによる輸送は、ひとりのドライバーにより車両内での宿泊を伴う運用になっているなどハードで、それがドライバーの高齢化や若手の人手不足につながっている。「トラックが俺の家・俺の城! 長距離を何日も走るのがトラック野郎の心意気!」と息巻くストイックなドライバーがいるのも確かだが、コンプライアンス的にもそんな過酷な労働環境をよしとするわけにはいかない。

 そもそも、2024年問題はそんなトラックドライバーの労働環境を改善する「働き方改革関連法」の物流業界での本格適用がきっかけとなっている。その問題を解決するためにも、ここ数年は行政やトラック業界、荷主たちや高速道路事業者たちが連携して対策を進めているわけだ。

 そんな長距離ドライバーたちの労働環境を改善する対策のひとつとしてネクスコ東日本が取り組むのが、高速道路SAでのドライバー交代の実証実験。2025年の12月16日から3月19日の間、東北自動車道の下り線の佐野SAで、ドライバー交代の実証実験を進めているのだ。

 これは佐川急便の協力で行っている実験で、SA・PAでの休息による長時間駐車の課題解消や、働き方改革関連法によって厳格化した労働時間の上限規制への対応を目的としている。交代するドライバーはSA外の駐車場とウォークインゲートを利用してSA内に入り、SAの駐車スペースに設けられた規制マスにてトラックに乗ってきたもうひとりのドライバーと交代。そのドライバーは、交代したドライバーが乗ってきたクルマで営業所まで帰社するというシステムだ。

 今回の実験は関西(京都府)から東北(福島県)まで680kmの長距離輸送が対象。交代場所は東北道の佐野SA。関西からのドライバーは550km・約12時間を走り佐野にて交代する。乗り換えたドライバーは佐野から東北までの130km・約3時間のラストスパートを走り、荷降ろし先の福島まで向かうという流れになっている。佐野でのドライバーの交代は朝6時台に行う。

 この実証実験は2025年にも実施されており、そのときは交代するドライバーや他車の安全性に問題がないこと、輸送時間の短縮とドライバーのトラック運転時間の短縮により負担の軽減効果があることが確認できた。また、高速SAにてドライバー交代を行うため一般道を走行する必要がなくなり、トラックの運行が約12km・約30分短縮できることが確認できた。これにより一般道での事故リスクが低減し、1運行あたり約7.49kgのCO2削減を確認することができた。

 今回の実験では降雪の影響も受ける冬期間を含めての検証になり、改めて安全性の検証と道路管理への影響、物流事業者の運行管理への影響や本格運用に向けた課題の確認を行うことになっている。

 ちなみに前回の実証実験では「平日の朝は通勤時間帯で混雑しているため、一般道での運転が減りラクになると感じた」というドライバーの声や「ドライバーの負担軽減にともない事故発生リスクが軽減できると考えられる」という運送事業者の声を確認することができた。

 前述のとおり、2026年の実証実験は冬の運用実験。東北では深刻な雪となっているため、さらに現状に即したドライバーのインプレッションが聞き取れるに違いない。


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