フルカーボンの450万円車いす! F1パーツ製作用3Dプリンター! ホンダの研究所に潜入したらやっぱり超おもしろカンパニーだった (2/2ページ)

3Dプリンター技術でホンダがクルマの製法を変えるかも!?

 さて、次に見学できたのがホンダの3Dプリンター施設だ。じつは先に紹介した車いすレーサー「翔〈KAKERU〉」にも3Dプリンターは活用されており、そのハンドルは3Dプリンターによって造形された合金製だ。このパーツは、従来の削り出し製品と比べてはるかに軽量でありながら、同程度の強度を実現しているという。

 見学会では、実際に3Dプリンターでパーツを造形する過程も見せてくれた。今回見せてもらったのは、L-PBF(レーザー粉末床溶融結合法)と呼ばれる製法の装置だ。とはいえ、その3Dプリンターは外から見るとただの巨大な箱である。小窓から内部をのぞくと、粉末にレーザーを照射する作業が繰り返されている様子を確認できた。

 これが何をしているのかを簡単に説明すると、ベースプレートに金属粉を散布して極薄の層を形成し、必要な部分にレーザーを照射して金属粉を溶融する。そして再び金属粉を散布して層を作り、レーザー照射で溶融する……という作業を、気の遠くなるほど繰り返しているのだ。

 つまり、3Dプリンターによるパーツは、極薄な金属層を何重にも積み重ねながら必要な部分を溶かして固めていくことで形作られているといえる。ただし実際には、成形パーツを支えるサポートが必要になる場合もあるため、完成品の部品をそのままスキャンしてデータ化すればよいというものではない。

 また、レーザー照射時に発生するヒューム(金属蒸気)やスパッタ(溶接中に飛び散る金属粒子)が溶融の邪魔をするため、それらをいかに回避するかといった課題もある。こうした造形条件の設定には、かなりのノウハウが必要になるという。

 ホンダではこの3Dプリンター技術を13年前から研究しており、現在ではF1のパワーユニットの一部、ピストンやターボハウジングなどの製造にも活用している。現状では金属粉のコストの関係から少量生産の一部パーツに限られているようであるが、将来これが市販車の多くの部品に採用されるようになれば、クルマの生産に革命をもたらすかもしれない。

 このように、日本が誇る世界的モビリティカンパニーであるホンダは、常に最新技術を研究し、それを活かした新たなモノづくりに挑戦している。おそらく今回公開された技術も、すでに何年も前に確立されたものであり、本当の意味での最前線ではないはずだ。もしかすると、我々の想像をはるかに超える製法や製品がすでに実用間近になっており、数年後、いや数カ月後には発表されるのかもしれない。今後も“ビックリドッキリカンパニー”なホンダに期待しようではないか。


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