この記事をまとめると
■新車の長納期化の根本的な理由の一つに半導体不足がある
■自工会が主導して日本の自動車メーカー各社で部品標準化の検討に入った
■一部半導体の標準化を含めたサプライチェーンの変革は一筋縄ではいかない
新車の納期に影響を与える半導体
せっかく新車を買おうと思っても、かなりの長納期。その理由についてディーラーマンが「半導体不足とかで、メーカーも困っているみたいで……」といった受け答えをする場合があるだろう。
そんな「半導体不足」だが、具体的に何が問題なのか。
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一般的には、「最近のクルマはコンピュータの集合体のようなもの。だから半導体が不足すると製造ができない」といった解釈がある。確かに、近年のクルマにはECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)と呼ばれる制御装置が数10から100を超えて搭載されている。そのなかで半導体が使われているのだから、半導体不足が自動車製造に直接的な影響を与える。
そんな課題の解決に向けて、日本の自動車メーカーでつくる業界団体・日本自動車工業会(自工会)は大きく動き出そうとしている。
自工会は2025年後半、「新7つの課題」を公表。そのなかで、「サプライチェーン全体での競争力向上」を挙げており、具体案として日本の自動車メーカー各社で部品標準化の検討に入った。
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2026年1月22日、自工会と報道陣の懇談会で、部品標準化の一例に半導体の話が出た。それによれば、半導体には電源のオンオフなど単純な機能向けの、いわゆるアナログ半導体から、最新技術を集約した先端的な半導体まで車載用での種類が多く、そのうちアナログ半導体については業界での部品標準化の可能性があるのではないか、というのだ。
アナログ半導体のサプライヤーは、その製造工程を先進的な製造ラインに転換することができず、長年にわたり従来の装置でアナログ半導体を作り続けていることがサプライヤーの国際競争力を阻害している。また、自動車メーカーによって異なる半導体の仕様があることで、日本のサプライヤー全体でのコスト競争力も低下する。
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そこで、自工会が中心となり半導体の仕様標準化に対するガイドラインを作り、半導体業界全体における技術革新と需給のバランスを目指すというのだ。そこに国の支援も含めた新たな投資を呼び込む。
むろん、半導体業界ではいま、AI(人工知能)関連技術を筆頭とした先進技術についてグローバルで厳しい競争が展開されており、自工会としてすべての半導体で標準化することは難しいが、半導体の幅広い分野で自動車メーカーが協調することで、半導体の安定供給につながることを期待したい。
ただし、半導体メーカーは自動車産業界ではティア2にあたり、自動車メーカーがティア2と直接取引するケースは比較的少ない。自動車メーカーは通常、大手部品メーカーのティア1を通じて部品供給を受ける形だ。
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コロナ禍で発生した半導体不足の際に、自動車メーカーはティア2である半導体メーカーの動向把握を重視するようになったが、ティア1関係者らの声を聞くと「業界の構造はさほど大きく変わっていない」という。
自工会が進めようとしている一部半導体の標準化を含めて、サプライチェーンの変革は一筋縄ではいかないだろう。そうしたなか、自工会がどんな成果を見せるのか、今後の動向を注視したい。