この記事をまとめると
■SNSのジョークが発端となり「M3ツーリング 24H」の実車が誕生
■M4 GT3 Evoベースにワゴンボディを組み合わせた異色マシン
■ニュル24時間でワゴンの可能性を証明する挑戦となる
異例中の異例となる挑戦
BMWは3月16日、「M3ツーリング 24H」を2026年ニュルブルクリンク24時間レースのSPX(エクスペリメンタル)クラスに参戦させると発表した。ステーションワゴンタイプのレーシングカーを自動車メーカーが製作するというこのプロジェクトは、2025年4月1日のエイプリルフールのジョークとして公開されたレンダリング画像が発端だった。
そのSNSでの反響が予想を大きく上まわり、160万回以上の再生回数と前例のないエンゲージメントを記録したことで、BMWの経営陣が本気で製作を決断。わずか8カ月で実車が完成し、ジョークが現実となったのである。そのテスト走行のカラーリングでは、実際にSNSで集まったコメントがデザインとして落とし込まれている。
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M3ツーリング 24Hは、M4 GT3 Evoと同じ技術ベースを使用し、そのボディのみM3ツーリング(G81)をベースとしたものとしている。M4 GT3 Evoと比較すると全長が200mm長く、巨大なリヤウイングを含めた全高は32mm高い。技術的なデータは両車で同一だ。つまり、シャシー、エンジン、トランスミッション、サスペンションなどの基本構造はM4 GT3 Evoそのままで、ボディシェルだけがステーションワゴンに変更されている。
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参戦体制はシューベルト・モータースポーツがエントリーを担当し、タイヤはSP9クラスで走るM4 GT3と同じくヨコハマを使用。ドライバーは4人のファクトリードライバーで、ニュルブルクリンク北コースのベテランであるイェンス・クリングマン、ベルギー人エースのウーゴ・デ・ヴィルデ、そしてアメリカ人コンビのコナー・デ・フィリッピとニール・ヴァーヘイゲンが務める。
BMWモータースポーツディレクターのアンドレアス・ロースは「BMWモータースポーツでこのようなプロジェクトは前例がない。私は興奮している。そして同時に、ニュルブルクリンクという第二の故郷で、我々にこれほど近い存在であるファンたちも同じくらい興奮するだろうと確信している」とコメントした。
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ステーションワゴンのレーシングカーは珍しいが、前例がないわけではない。もっとも有名なのは1994年のBTCCに参戦したボルボ850エステートだろう。ただし、ステーションワゴンで勝利を収めたのは20年後となる。BTCCにはシビック・ツアラーやスバル・レヴォーグの参戦歴があるほか、日本国内での著名な例としては、JTCCにスバル・インプレッサワゴンが、スーパー耐久にて三菱ランサーエボリューション・ワゴンが参戦した。
興味深いのは、BMWがステーションワゴンのM3を製作するのは今回が初めてではないという点だ。2000年には、M3 E46ツーリングのプロトタイプを密かに製作していたが、市販化は見送られた。市販のM3ツーリングが実現したのは2022年のG81型が初めてだった。そのG81がレーシングカーとして、しかもエイプリルフールのジョークから実現するという展開は、BMWにとっても予想外だったに違いない。
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M3ツーリング 24Hは、ニュルブルクリンク24時間レースという舞台で、ステーションワゴンというボディ形状がレースカーとして成立することを証明できるだろうか。空力的には不利な要素もあるはずだが、それをどう克服するかも見どころだろう。