この記事をまとめると
■マツダの新型CX-5にはディーゼルエンジンがラインアップされない
■EV失速により「マルチパスウェイ戦略」があらためて評価されている
■日本における次世代ディーゼル車の普及に対する将来予測は難しい
まったく先が見通せないディーゼルエンジンの行方
ディーゼル(エンジン)って、これからどうなるの? そんなふうに思っている人がいるかもしれない。なぜならば、世の中はハイブリッド車が当たり前になってきた印象があり、また「長い目でみれば、どこかのタイミングでEVが普及期に入る」といった話をネットニュースなどで見るからだ。
さらにいえば、日本にも2026年に導入予定のマツダ新型CX-5にはディーゼルエンジンのラインアップがなさそうだ。CX-5といえば、2012年に初代が登場した際に「クリーンディーゼルブーム」を牽引し、今日のマツダブランドを下支えしたマツダの中核モデルである。そのCX-5にディーゼルがなくなるとなると……。
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日本の乗用車市場の燃料別新車販売台数(2025年)を見ると、トップはやはりハイブリッド車(60.39%)で、次いでガソリン車(31.89%)、ディーゼル車(4.50%)、プラグインハイブリッド車(1.63%)、EV(1.57%)、そして燃料電池車(0.02%)と続く。
このディーゼル車(4.50%)というシェアについて、「まだ4.50%ある」と見るか、それとも「たった4.50%」と見るのか人によって印象は違うだろう。次期CX-5のディーゼル未導入や、欧州車でのディーゼルラインアップの減少などを知っている人にとっては「いたし方ない」と思うかもしれない。
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では、これから先、ディーゼル車はどうなるのか?
結論をいえば、予想が極めて難しい。なぜならば、直近では国や地域の政治的な思惑によって環境政策が大きく変わるため、自動車メーカー各社は将来のパワートレイン事業計画の策定に苦慮しているからだ。
少しだけ時計の針を戻せば、2010年代半ばから後半にかけてグローバルでESG投資の嵐が吹き荒れた。従来のような財務諸表だけではなく、環境・ソーシャル(社会性)・ガバナンスを重視する投資を指す。これがEV投資バブルを呼んだが、2020年代前半にはEVの需要と供給、それに対する投資がアンバランスとなり欧州ではEVシフトが停滞。
また、アメリカではトランプ政権が過去の民主党(オバマ・バイデン)政権の環境政策を方向転換した。直近では、CAFE(企業別平均燃費)を緩和する。
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結果的に、こうした欧米の動きは日本が推奨する「マルチパスウェイ」に近づいているとの印象がある。国や地域の情勢に応じて多様なパワートレインや使用する燃料を作りわけるという考え方だ。そのなかには当然、再生可能エネルギー由来のディーゼル燃料を使う次世代ディーゼルエンジンが含まれる。
代表的な事例は、すでに欧州で実用化が始まっているHVO(水素化処理植物油)がある。日本では、マツダがスーパー耐久シリーズ「ST-Q」クラスに参戦している「マツダ スピリットレーシング 3フューチャーコンセプト」がカーボンニュートラル燃料を使用して実戦を通じた研究開発を進めてきた。
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現状で日本では、HVOやカーボンニュートラル燃料の製造コストが高く、国からの支援も限定的であるため、日本における次世代ディーゼル車の普及に対する将来予測は難しい。それでも、確実な需要が見込めるバスやトラックなどの商業車向けを軸として、乗用ディーゼルについても次世代ディーゼルの活用が広がることを期待したい。