値引きではなくもとから安いのがBYD流! 他の中華メーカーとは一線を画す巧みな戦略とは (2/2ページ)

BEVなのにトヨタのハイブリッドよりも安い

 タイでは、ICE(内燃機関)車も含むクロスオーバーSUVの販売台数では、トヨタ・ヤリスクロスがトップとなっている。BYDのATTO 2はBEVながら、そのヤリスクロスサイズ(全長同じ)を採用するクロスオーバーSUVタイプBEVとなっている。ヤリスクロスのタイでの廉価グレードとなるHEVスマートの価格は80万9000バーツ(約404万円)なのに対し、ATTO 2の廉価グレードであるダイナミックの価格は62万9000バーツ(約314万円)となっている。

 シール 6は、カローラより全長や全幅は若干サイズアップしているものの、ほぼカローララスのRWD(後輪駆動)となるラグジュアリーBEVセダンとなっている。そのシール 6の廉価グレードであるダイナミックの価格は89万9900バーツ(約449万円)。カローラ(現地名カローラ・アルティス)の廉価仕様は純ガソリン車となる1.8Gで90万9000バーツ(約454万円)、HEVでの廉価仕様となるHEV スマートで94万9000バーツ(約474万円)となっている。

「安かろう悪かろうでは?」との疑問が出そうなところだが、シール 6を実際にチェックしてみると、シール5 DM-iよりも明らかに質感がアップしており、とくに重厚な音とともに開閉するドアには感動してしまった。

 タイでも圧倒的なシェアでブランド別販売トップとなるトヨタをベンチマークとしているかは定かではないが、BEVでさえHEVや純ガソリン車並みの価格戦略で挑むBYDは、タイでの売れ方を見ても全クラスで好調な販売を続けている。ほかの中国系ブランドのような期間限定での大幅値引きよりも、BYDの「いつでもお値打ち価格」というのが、タイの消費者には受け入れられているようである。

 再販価値を意識するタイでは、確かに大幅値引きで乱売するよりもお値打ち価格設定で販売するほうが再販価値維持に有効なのは間違いない。もちろんBYDが目立ったインセンティブ(購入特典)を用意していないわけではないが、ほかの中国系ブランドとは一線を画す価格戦略をとっていることは間違いない。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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