フェラーリの「過去」と「未来」を内包した特別な1台
この2台と最新作HC25を比較すると、三者三様の個性が浮かび上がってくる。
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SP48ウニカはF8トリブートというクーペをベースにしながら、前後を大胆に再設計することで「彫刻的な美しさ」を追求した。SP-8はF8スパイダーというオープンカーをさらに過激なバルケッタへと昇華させ、走りへの純粋な意志を形にした。
そしてHC25は、SP-8と同じF8スパイダーのプラットフォームとパワートレインを継承しながら、エクステリアとインテリアを完全に再設計したワンオフロードスターだ。SP-8との最大の違いはデザインの方向性にある。HC25は、フェラーリが「理想的な橋渡し」と表現するとおり、12チリンドリやF80が示す未来的なフォルムを投影している。
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その象徴が灯火類のデザインだ。フェラーリの市販車として初めて、縦配置のブーメラン形状のデイタイムランニングライトが採用されており、これは次世代モデルのデザインを先取りしているといわれている。SP-8のライトがローマからの流用だったのに対し、HC25はこれまで使われたことのない新開発の超スリムなヘッドライトを採用し、極薄のリヤテールランプとの統一感も際立っている。
ボディカラーも対照的だ。SP-8が生カーボンとシルバーの2色でレーシーな印象を与えるのに対し、HC25はマットの「ムーンライトグレー」をベースに、グロスブラックの帯が車体中央を横断する構成。後輪から矢印状のグラフィックが前方へ流れ、ドアを越えてリヤスクリーンへと吸い込まれるデザインが採用されている。
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そして3台に搭載されるのは、2016年から4年連続でインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーを受賞し、同賞史上前人未踏の記録を打ち立てた3.9リッターの90度V型8気筒ツインターボであり、ハイブリッドなどの電動化はなされていない。近年のフェラーリは、SF90ストラダーレや296 GTBのようにハイブリッド化を急速に進めている。その流れを考えると、HC25はF8スパイダーをベースにした最後の非電動V8搭載モデルになる可能性も十分にある。
SP48ウニカ、SP-8、そしてHC25。同じF8の血を引きながら、まったく異なる個性をもつ3台。それぞれのオーナーの夢が、フェラーリのデザインチームとの対話の末に形になったこれら3台は、非電動の純V8ミッドシップというひとつの時代の象徴であり、その終焉を、フェラーリはこのHC25というスペシャルなモデルで飾ってみせた。
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そしてそのデザインが次世代モデルの予告編でもあるとすれば、HC25は「過去」と「未来」を同時にまとった、フェラーリ史上もっとも示唆的なワンオフモデルといえるかもしれない。