マイナーチェンジで何があった? トヨタのEV「bZ4X」が突如売れ出したワケ

この記事をまとめると

■トヨタのEV「bZ4X」が売れ続けている

■当初は不具合や装備の欠点が目立ち販売台数が伸び悩んだ

■マイナーチェンジによりネガティブな部分が大幅にブラッシュアップされた

bZ4X大ヒットの裏側

 昨年度末となる今年3月の集計で、国内の電気自動車(EV)販売の市場占有率は、3.11%となり、過去最高になったという。ちなみに1年前は1.46%だったので、2倍以上増えたことになる。

 EV人気の高まりの背景にあるのは、輸入車EVと、トヨタbZ4Xの販売増のようだ。ことにbZ4Xは、前年3月の1882台から5140台へ2.7倍以上の伸びとなった。

 bZ4Xは、トヨタ初の量産市販EVとして、日本では2022年5月に発売された。ただし、当初はトヨタがKINTOと名付けるリース販売のみの形態をとり、また、車種は前輪駆動(FF)と4輪駆動(4WD)の2種類があったが、より身近な価格のFFをまず売り出し、4WDは販売時期が見えない状況があった。

 背景にあったと思われるのは、発売から1カ月ほどしてリコールが発表されたことだ。しかもそこから3カ月ほどは、理由がなかなか説明されない事態にもなった。車両本体では、EVにとって不可欠なバッテリーの充電残量計にパーセンテージの(SOC)表示がなく、残りどれくらいで充電が必要かという予測が難しく、EVを選ぶ不安を掻き立てた。

 媒体向けの試乗会では、さすがトヨタ製という安心感のある仕上がりで、製品としての質の高さを感じさせたが、一方で、EVらしさの点で、SOCを含め、商品性への物足りなさを感じさせるところがあった。たとえば、FFは車両重量の軽さもあってEVらしい胸のすく伸びやかな加速を体感させたが、4WDはとくに中間加速(走行途中でのさらなる加速)で爽快さに欠けた。また全体的に静粛性にも競合他車と比べ物足りなさがあった。

 そうした諸々があって、bZ4XのEVとしての評価は当初厳しいものとなった。ところが、トヨタはそこから挽回し始める。

 まず、SOCについて、発売から1年を経る前に改良を施し、パーセンテージ表示をするようにした。また既納車についても、順次アップデートするとした。

 また、基礎充電をしにくいマンションなど集合住宅住まいの人や、長距離移動を頻繁に行う人にとって不可欠な急速充電性能を向上させ、繰り返し急速充電しても素早い充電を可能にした。ほかにも、走行可能距離の表示を改良し、0kmとなる表示をやや遅らせて出すようにすることで、無用な不安を減らす配慮もなされた。

 トヨタはEVにとって不可欠な要素の改善を素早くおこない、消費者を安心させはじめた。面目躍如たる対処だった。

 その後、発売から1年半ほどが過ぎたころ、リース販売だけでなく、買取方式の通常販売にも対応するようになった。日本の消費者になじんだ、自分のクルマを買うという入手の仕方ができるようになったのだ。
3年後の昨2025年にはビッグマイナーチェンジを施し、一充電走行距離などが進化した。ある試乗レポートによれば、一充電走行距離が伸び、電気駆動系の改良により静粛性が高まり、生まれ変わった印象とのことである。また、全国3000店舗を超えるディーラーに、試乗車両が配備されたとのことだ。

 また、昨年末に実施された、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)の支給額で、bZ4Xは最高額の130万円とされ、競合他車に比べ割安感を高めた。

 EVに限らず、国内の新車販売実績の統計である自動車販売協会連合会(自販連)による乗用車ブランド通称名別順位で、トヨタは常に上位5位あたりまで独占する状況にある。ただし、販売店舗数が5000弱ともいわれるトヨタに対し、日産やホンダは2000店舗ほどなので、そもそも、トヨタの店舗数は2倍以上あることを知る必要がある。

 それでも、EV販売において、bZ4Xが着実な前進を見せ牽引役となったことは大きい。この先トヨタがさらにEVの取り扱い車種を増やし、消費者に選択肢をもたらすことを期待したい。


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御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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