【試乗】年次改良したGRヤリス「26式」を最速公道チェック! 25式と乗り比べたら「モータースポーツ色」が強まっていた (2/2ページ)

タイヤの変更が乗り味の大きな差を生んだ

 走り出してもっとも大きな違いとして感じたのはタイヤである。2025年モデルはミシュラン・パイロットスポーツ4Sを装着していた。これは非常にバランスのよいタイヤだった。路面の細かな凹凸やハーシュネスを巧みに吸収しながら、接地感も十分伝えてくれる。公道で使用するスポーツカーとしては非常に扱いやすく、快適性も高かった。

 それに対して2026年モデルはブリヂストン・ポテンザ レースを採用する。この変更によってキャラクターが大きく変わった。グリップ性能は明らかに向上しているはずだが、公道ではその恩恵を引き出す場面がほとんどない。そのかわりに感じるのはケーシング剛性の高さによる乗り心地の硬さである。荒れた舗装路ではガタガタ、コトコトとした入力が直接伝わり、突き上げも強い。快適性という観点では2025年モデルのほうが優れている。

 ただし、この評価はあくまで一般道での話だ。GRヤリスのパフォーマンスパッケージは本質的にサーキットやジムカーナ、ラリーを視野に入れた仕様である。ポテンザ・レースはサーキット走行を強く意識したタイヤだ。日常使用を重視するならミシュラン装着車のほうが好ましいが、サーキット走行を前提にするなら今回の選択にも納得できる。

 オプション設定の縦引きサイドブレーキも象徴的な装備である。ラリーカーを思わせるこのレバーは、電制カップリング制御との組み合わせによってサイドブレーキターンを可能にしている。

 もっとも、一般的なサーキット走行ではサイドブレーキを使う場面はほとんどない。ジムカーナやラリーのタイトターンでは有効だが、タイムアタック主体のサーキット競技では車両の姿勢変化を利用して曲げていくことが多い。

 それでも、この装備が与える特別感は大きく、GRヤリスというクルマの世界観を象徴するアイテムになっている。現在、コンパクトな四輪駆動スポーツカーは極めて希少な存在となった。かつてはランサーエボリューションやインプレッサWRX STIがあったが、その系譜はほぼ途絶えた。GRヤリスは現代に残された数少ない本格4WDスポーツであり、しかもコンパクトなボディサイズを維持している。

 一方で、公道ではその性能を引き出せる場面が限られる。だからこそ、このクルマを購入するならサーキットやジムカーナコースを積極的に活用したい。GRヤリスの本当の魅力は、そうした場所で初めて見えてくるはずだ。

 2026年モデルはステアリングの小径化や競技指向のタイヤ採用によって、よりモータースポーツ寄りの性格を強めた。快適性や扱いやすさでは2025年モデルに軍配が上がる部分もあるが、競技ベース車両としての完成度はさらに高まっている。

 GRヤリスは万人向けのホットハッチではない。むしろ競技の世界へ踏み込むための入り口として存在するクルマだ。その意味では2026年モデルは、GRヤリス本来の立ち位置をより鮮明にした進化といえる。その本領はサーキットで試さない限り明らかにできない。

中谷明彦さんがトヨタGRヤリス26式に試乗


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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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JEEPラングラーPHEV
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海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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