適用条件は限られるが除外制度も
ここで、「郵便配達車には駐禁のステッカーを貼らない」という話を聞いたことがある人もいるだろう。これは、まったくのデマというわけではない。各地の公安委員会には公共性の高い用務に使う車両を駐車禁止規制から除外する制度があり、たとえば神奈川県では、専ら郵便法に規定する郵便物の集配のため使用中の車両が、駐車禁止除外指定車標章の交付対象とされている。
郵便物集配用車両画像はこちら
ただし、「郵便のクルマならどこに駐めても取り締まられない」という意味ではない。除外されるのは標識などによる駐車禁止規制が中心で、駐停車禁止場所や法定の駐車禁止場所、駐車方法に違反する駐め方などは対象外となる。さらに、対象はあくまで郵便法上の郵便物の集配に使用中の車両であり、郵便会社の車両すべてが自動的に特別扱いされるわけでもない。条件から外れた違法駐車であれば、郵便配達車であっても放置車両確認標章が取り付けられる可能性がある。
一方で、物流を止めないための対策も進められている。警察庁は、地域の交通実態に応じて貨物集配中の車両に配慮した駐車規制の見直しを進めている。東京都内では、標識で指定された場所と時間帯に限り、「貨物集配中の貨物車」が駐車できる専用枠が設けられている。また、パーキング・メーターやパーキング・チケットにも「貨物車」と表示された荷さばき向けの枠がある。こうした場所を利用すれば、一般車の路上駐車と競合しにくく、配送作業もしやすい。
貨物車専用パーキングメーター画像はこちら
さらに、一定の用務については警察署長の駐車許可制度もある。ただし、単に配送業務だから許可されるのではなく、短時間の積み降ろしなど違反にならない方法では目的を達成することがおよそ困難であることなど、条件がある。
配送トラックにとって路上での荷さばきは仕事そのものだが、道路は同時に歩行者や他の車が使う公共空間でもある。重要なのは「配送なら許される」ではなく、場所、時間、停止の目的、運転者がすぐ動かせる状態かをひとつずつ確認することだ。都市物流を支えるには、取り締まりだけでなく、貨物車が合法的に使える荷さばきスペースを増やすことも欠かせない。