【試乗】ヤリスクロスやヴェゼルのライバルなのに3列7人乗り! 新型シトロエンC3エアクロス・ハイブリッドに乗ってわかった他車にはない圧倒的な乗り心地 (2/2ページ)

乗り心地はシトロエンらしい魔法の絨毯

 ただ、僕が「唯一無二の存在だな……」と感じたのは、もちろんそこが最大のポイントではあるのだけど、それだけじゃない。シトロエンが昔から快適性にとことんこだわってきたブランドであることは、多くの人が知る事実。C3もそうだったけど、このC3エアクロスも同じクラスの同じカテゴリーでは、段トツと表現してもいいくらい、素晴らしく快適だった。乗り心地が”いい”というより、乗り心地が”気もちいい”のだ。

 その秘密は、まずHPC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)と呼ばれる、なかにセカンダリーダンパーを仕込んだ油圧ダンパーをもつサスペンションが、極めて豊かに滑らかにストロークしてくれること。段差や荒れた路面の凹凸も、角のある硬いモノとして伝えてきたりはしない。

 そしてもうひとつ、アドバンストコンフォートシートの存在だ。シートの芯の部分に硬めの高密度ソリッドフォームを使うことで沈み込みを抑え、骨盤や腰椎を正しい位置で支え、表層にはテクスチャードフォームを15mmの厚さで敷き詰めることで、ふんわりもっちり身体を包み込むなど、さまざまな工夫を凝らしたシトロエン独自設計の高機能シート、である。

 そのどちらももとは上級モデルにしか与えられていなかった快適技術だったのだが、それがもっともコンパクトで価格的にもだいぶフレンドリーなBセグSUVに全車標準となったのは、じつにエポックメイキングな出来事。僕は”魔法の絨毯”という乗り物には試乗したことがないのだけど、想像上のその乗り味を瞬間的に連想してしまうほどの快適な乗り心地も、唯一無二感を形づくるもうひとつの大きな要因なのだ。

 そういうアシだからして、4つのタイヤへの荷重のかけ方の自由度が高く、それを利用すればクルマが意外なほどクルリと気もちよく曲がってくれる。3気筒の1.2リッターターボは136馬力に230Nm、モーターは20馬力に51Nmと出力は大きいとはいいがたいが、内燃機関の得意分野とはいえない分野をモーターが巧みにカバーしてくれるおかげで、発進時から厚手のトルクを発生してそのまま力強く滑らかに速度をのせていくことができるから、加速に関しても巡航に関しても、不満らしい不満はまったくない。

 シトロエンはファミリーカーブランドだからスポーツ性に期待する人はそれほど多くはないのだろうけど、間違いなく”やればできる”能力をしっかりと秘めてるのだ。

 ステランティスのこの1.2リッター直列3気筒ターボ+48Vモーターは、マイルドハイブリッドにしては珍しくモーターのみで走行する場面というのが結構あって、今回もふと気づいたらエンジンが停まってモーターのみで走ってるという瞬間が多々あった。それは静かで滑らかで上質さを感じられる瞬間でもあるのだけど、これはもちろん燃費にも効くわけで、WLTCモードで19.6km/Lという発表値を上まわることも、環境や状況、走らせ方次第では可能だったりもする。

 価格は399.9万円とこのクラスにしては安くないけれど、それでもそうした諸々も合わせて考えていくと、もっとも魅力的なチョイスかもしれないという気もちは、やっぱりどんどん強くなってくる。そもそもシトロエンは、代々飽きのこないクルマ作りをしているブランドで、このクルマも馴染んでしまったら長く乗りたくなるような味わいを見せてくれたし。

 ごく最近ではBYDのラッコ上陸が「黒船襲来!」と表現されたりして、それを否定する気もちもまったくないのだけど、このシトロエンC3エアクロス・ハイブリッドも、じつは隠れた黒船なんじゃないか? と思えて仕方ないのだ。


この記事の画像ギャラリー

嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
-

新着情報