左利きの人は運転が上手いが事故率は高い? 利き手と運転の相関関係の真相を専門家に聞いてみた (1/2ページ)

もしかして天才の条件? 左利きは運転も上手?

「左利きには天才が多い」という説を聞いたことがないだろうか。「ピカソも、アインシュタインも」というのは40年近く前の人気ドラマのセリフだが、俗説だとしても信じたくなる名前が並ぶ。

 レース関連では、アイルトン・セナやジェンソン・バトンが左手でサインしていたとか。キミ・ライコネンも左利きらしい。絶対数は多くないが、利き手が左の割合は全人口の10%程度だというなかで、これだけトップドライバーの名が並ぶと、ドライビングの才能にも関係しているのではないかとさえ思えてくる。

 果たして左利き・右利きと運転の技能や傾向との間には相関関係があるのだろうか。早い話、「左利きは運転がうまいんじゃないか?」と考えたわけだ。そんな仮説をもとに、それに答えてくれるような調査や研究はあるのか調べてみると、手がかりになりそうな情報をキャッチした。「日本左利き協会」なる団体があるというのだ。

 日本左利き協会は、左利きと右利きの相互理解を深めることを目指しているという。発起人である大路直哉氏は、自身が左利きであり、英国で左利き専門店に出会ったことをきっかけとして利き手への探究を開始し、左利きに関する著作などの活動を行っている。

 しかも大路氏は、幼い頃からクルマへの関心が強く、現在も運転やモータースポーツ観戦が好きで、さらにCARトップ読者だったとのこと。じつに心強い専門家の協力を得て、運転に及ぼす影響などクルマと”利き”の違いとの関連を考えてみた。

右利きの圧倒的な多さは文化的背景が大きく影響

 そもそも左利き・右利きとはどのようなものかを考えたとき、すぐに思い当たるのは利き手だ。

 細かい作業や力の加減などが器用にできるほうの手がどちらか、ほとんどの人が認識しているだろう。ただし、左右同じように使えるという両手利きや、クロスドミナントと呼ばれる動作によって異なるケースもある。大路氏によれば、フェルナンド・アロンソは右手で文字を書くが、左手でテニスのサーブをしており、クロスドミナントに当てはまるという。

 だが、利きは手だけではなく、目や耳、足にもあることは、あまり気にしないで過ごしているかもしれない。先述したとおり、利き手が左だという割合は10%程度だが、利き足はおよそ30%が左、利き目や利き耳は60%程度が右とされている。

 この”利き”がどのように決まるのか、じつはよくわかっていないらしい。脳の構造や遺伝的要素、後天的な習慣など、その原因には諸説あり、よく言われる右脳派/左脳派という単純な区分けではないというのが最近の見立てだ。実際、利き手が確立するのは8〜12歳くらいとされている。

 にもかかわらず、右利きが圧倒的に多いのには、文化的な背景があるのだとか。日本の文化に影響を与えた儒教をはじめ、食事をするのは右手と定めた教えが世界には多く、キリスト教には左より右を尊ぶ考えがある。そのため、幼いうちに左利きを矯正されることが一般的だったのだ。

 そうして、右利き優勢な世の中ができあがり、左利きがなにかと不便を強いられるようになってしまった。代表格としてはハサミや包丁、筆記用具、またゴルフクラブなどのスポーツ用具やギターなどの楽器に選択肢が少ないこと。パソコンのマウスとテンキー、自動改札のタッチ部なども、右利きに使いやすいレイアウトだ。

左利きドライバーは左足ブレーキも簡単?

 もしあなたが右利きなら、日々不便を感じることもあまりなく、改めて自分の利きを考えることも少ないはず。世の中、多数派の右利きに合わせて設計されているものがあまりにも多いからだ。

 では、クルマの操縦系はどうだろう。右ハンドルの日本車であればシフトレバーの操作は左利きに有利かもしれないが、右利きだからといってMTの操作に慣れてしまったあとでは、そこまで苦労した覚えはない。

 ましてや、ATが圧倒的なシェアを占める現在では差が小さい。さらに言えば、最近では大路氏が”ユニバーサルデザイン”だと言う、両手を使うパドルシフトも増えている。

 ここで、いかにも右利き的な質問を大路氏にぶつけてみた。左利きだと、左足ブレーキは習得しやすいのか、というきわめて素朴な疑問だ。

 すると大路氏は、以前に検証してみたことがあるとのこと。結果、利き足が左であっても、ブレーキ操作は難しかったそうだ。使いこなすには、継続的な訓練や、幼い頃からのカート経験など、習慣的な要素のほうが大きく、左利きだからといって安易に試すのは安全面からおすすめできないとの見解をいただいた。

 左右で機能が違うものといえば、コラムレバーも見逃せない。JIS規格に基づく日本車の場合は、使用頻度の高いウインカーレバーが右にある。とはいえ、ISO規格の輸入車はレイアウトが逆だ。乗り換えた際に間違えてしまうのも、おもに利き手より慣れの問題だ。


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