【試乗】日本のミニバン&商用車と戦わない独自路線! 韓国KIAが放つ万能BEV「PV5」は遊びも仕事もOKな楽しすぎる1台だった (2/2ページ)

仕事と遊びを両立するクルマ

 続いてカーゴに乗り換えた。こちらは走り出した瞬間からパッセンジャーとの違いが明確だ。試乗車には荷室にあえて約310kgのウエイトが積まれていたが、それでもリヤサスペンションはかなり硬い。バネレート自体は公表されていないもののパッセンジャーとはかなり異なるセッティングになっていると感じた。段差を越えるとリヤから強めの入力が伝わる。だがカーゴでは乗り心地以上に積載時の姿勢変化や走行安定性を確保する必要がある。

 ブレーキにも重量を感じさせられる。約310kgを積載した状態では摩擦ブレーキだけで減速しようとするとペダル操作に対する制動力の立ち上がりがやや弱い。しかし回生を強く設定すると速度コントロールは格段にしやすくなる。積載時ほど回生ブレーキを積極的に利用するのがPV5カーゴを上手に走らせるコツになりそうだ。

 カーゴで興味深いのは、バッテリーによって積載能力が変わることだ。ロングレンジは一充電走行距離528km、最大積載量550kg。一方、51.5kWhのスタンダードは379kmとなる代わりに、バッテリーが軽いことで最大積載量は650kgへ100kg増える。つまり長距離を走るならロングレンジ、1日の走行距離が限られる配送業務などで、より多くの荷物を運びたいならスタンダードという明確な選択ができる。商用BEVとして非常に合理的な設定といえるだろう。

 ただし荷室が広大なだけに、重量物を扱う際には注意したい。空間があるからといって目いっぱいまで積み込んでしまうと最大積載量を簡単に超えてしまう可能性がある。容積と重量は別物だ。荷重センサーで管理できれば過積載を避けられるのだが。

 そしてPV5の本当の面白さは、単に広い電動バンというだけではない。KIAはモジュール化された「フレキシブルボディシステム」を採用し、カーゴやパッセンジャーからキャンピングカー、移動サービス、福祉用途など16タイプのボディワークへ発展させる構想をもっている。KIA自身がいう「モノ作り」から、クルマを使ってなにをするかという「コト作り」への転換である。

 PV5はBEV専用プラットフォームとモジュール化された車体を生かし、仕事、家族、遊びという異なる用途をひとつの基本設計からカバーしようとしている。しかも実際に箱根を走らせてみれば商用車としての実用性だけでなく、想像以上にシャシーの出来がいい。

 KIAが日本市場への第一弾にPV5を選んだ理由は、乗ってみるとよく理解できた。トヨタ・ハイエースが席巻する既存カテゴリーへ単にもう一台ライバルを送り込むのではなく、BEVだから可能になる新しい商用車、そして新しいミニバンの姿を提案している。日本初見参となるKIAの名刺代わりとして、PV5はかなり魅力的で面白い1台なのである。

KIA日本市場に提案する新しい電動バン「PV5」に試乗


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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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海外巡り
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