ヘッドライトの機能を法整備によって改善中
■視認性(見通し)の確保と防眩とは相反する部分がある
「であれば、それらの要因を見越して、眩しく感じさせないヘッドライトを義務化すべきではないか? 」と思うのは当然でしょう。しかし、それが実際に徹底できないのは、いくつかの要因が絡んでいる背景があるようです。
ヘッドライトの目的は、まず進行方向である前方をしっかりと照らし、ドライバーに状況を把握させるというものです。実際の検証で、速度に対して十分な距離(&範囲)を照らした場合と、距離(&範囲)が足りない=近場しか照らしていない状況では、明確に視認の差が生じ、事故率に大きな影響を及ぼすというデータがあり、これは一般的に運転しているときの実感と同じでしょう。
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つまり、視認性確保の点では「できるだけ明るく必要な距離(&範囲)を照らしたい」という一方で、対向車の視界を妨げないためには「右方の光をしっかりカットしなければならない」という、部分的に相反する要素を抱えているのです。
■国土交通省とメーカーもそれを防ぐ取り組みを行っている
その相反する要素は、どちらも事故の減少に大きく関係するため、できるだけどちらの問題も減らせるようにと、管轄する国土交通省も、製品を作り出すメーカーも取り組みを行っています。
国土交通省では先に触れたように、オートレベリング機構の適用範囲拡大や、高機能前照灯の普及を進めています。
高機能前照灯というのは、自動でハイビームからロービームに切り替えを行う自動切替型前照灯(AHB)や、ハイビームの状態で対向車のドライバーや歩行者の頭部などを照らす部分を自動で減光・遮光する自動防眩型前照灯(ADB)などの総称です。
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AHBはカメラで対向車・先行車などを検知して、ハイビームとロービームを自動的に切り替えるもので、2009年くらいから採用され始めました。
手動で対向車の有無に応じて切り替えるために意識を割く必要がなくなって運転に集中できるようになったため、安全に対しての一定の効果が見られました。
それをさらに進めたのがADBです。ADBはLED光源を前提としたシステムで、照射によって映像を映し出すプロジェクターのように、照射範囲の一部分だけを減光・遮光できるというのが特徴です。こちらは2012年ごろから採用が始まりました。ハイビームの照射範囲と明るさを確保したままで、対向車のドライバーや歩行者に眩しさを感じさせない配光が行えるという、理想的なシステムといえるでしょう。
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2025年秋に開催された「ジャパンモビリティショー」に出展していたヘッドライトメーカーの「小糸製作所」ブースでは、最新型のADBとして高性能なシステムを展示していました。従来の方式では12分割程度だった配光が、その1000倍以上の1万6000分割という詳細度に高められています。これは50m先のクルマの窓部分や歩行者の上半身のみの照射範囲をカットオフできるという細かさで、2026年の6月に発売されたLEXUSのESに装備されています。
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このように、ヘッドライト眩しい問題は昔からその解消への取り組みが行われていながら、なかなか払拭できないやっかいな問題でした。光軸の高い光を照射される側にとっては防ぎようがないという点もあり、とても軽視できるものではありません。
今後はADBの普及などの明るい要素があり、新型車では期待が持てる状況も見られます。しかし従来のクルマではそれらの恩恵が受けられません。そちらに対しては、車検の制度や基準の改正でなんとかしてもらえることを期待しましょう。