疲れにくいクルマの条件は乗り心地だけじゃない! シートに静粛性に……5つのポイントをプロが徹底解説 (2/2ページ)

最終的には自分の身体や運転スタイルに合ったクルマを

 が、電気自動車なら絶対に静かな車内環境になる……というのは一部間違いだ。パワーユニットからのノイズがないぶん、風切り音やロードノイズが目立つため、とくにロードノイズが大きい電気自動車はパワーユニットの静かさによる快適性を100%享受できないこともある。

 実際、某600万円級の国産電気自動車と、アクティブノイズコントロールによってエンジン音はもちろん、ロードノイズまでほぼシャットアウトした新型エルグランドの静粛性を比較したら、エルグランドのほうが圧倒的に静かなシーンがほとんどだったりした。とはいえ、一般的なエンジン車よりは、ハイブリッド→PHEV→電気自動車の順で、車内の静かさに有利なのは当然。静粛性を最優先するなら、電気自動車のロードノイズが小さいクルマが優位になるだろう。

 運転疲れが最高潮に達するのは、おそらく長距離の高速走行だ。ここではクルマの直進安定性がものをいう。直進性が悪いと自然にステアリングの微修正を行うことになり、肩や腕に疲れが出てしまう。直進性に加え、レーンチェンジでの水平感覚に近い安定感があれば、ここでも精神的なものを含めた緊張が軽減され、疲れにくくなるというわけだ。

 その高速走行では運転支援機能の充実度もまた運転疲労低減に直結する。とくにできのいい渋滞追従機能時ACC(アダプティブクルーズコントロール)が備わっていれば、走行中にペダル操作から解放されるとともに、前車との距離を一定に保つクルージングが可能となり安全性も高まる。

 さらにACCは、もっとも疲れるであろう渋滞時でも、前車が停止すればこちらも停止し、前車が走り出せばこちらも自動追従してくれるのだから、運転にかかわるストレスは大幅に軽減される。渋滞時ハンズオフ機能があればさらにいい。

 その渋滞追従機能時ACCは、停止保持時間に注目だ。一般的には2~3秒程度の停止保持で、3秒をすぎるとスタンバイ状態となり、追従機能を再開させるにはアクセルペダルをチョンと踏むなどの操作が必要。ただし、輸入車、国産車の一部には、停止保持時間が30秒~無制限のケースもあり(例:トヨタ・ノア&ヴォクシー、ダイハツ車約3分、日産セレナ約30秒)、高速道路の利用が多く渋滞に遭う機会が多ければ、ACCの停止保持時間の長い車種を選ぶのも一案だ。

 もうひとつ、渋滞時に疲れにくいクルマとして挙げられるのが、運転視界の高いクルマ。そう、ミニバン・SUVだ。前にトラックやバスがいない限り、前方の交通状況を見極めやすく、車線変更やSA/PAへの退避などのアイディアも浮かびやすくなる。とくにミニバンは室内空間が広く、眠気を誘う人の呼吸に含まれるCO2濃度の高まり(少人数乗車時)も低減できそうだ。

 ここまで、運転していて疲れないクルマの条件をいくつか紹介してきたが、もうひとつわかっていることがある。日々さまざまな新型車に試乗している経験から、やはり大き目のサイズのクルマが疲れにくいということだ。

 最近では日産エルグランド、トヨタ・クラウンエステート、ボルボEX90などで最大400kmのロングドライブを経験したが、シート、乗り心地、静粛性、高速安定性を含め、極めて疲れにくかった。とくにエルグランドは驚異の静かさに加え、ミニバンならではの見晴らしのよさもその要因(クラウンエステートとEX90はシートマッサージ機能があった)。

 その翌日に、ほぼ同区間をコンパクトで静かなハイブリッド車で走ったのだが、やはり疲労度の違いは歴然だった。ドシリと走れる車体の大きさ、室内のゆとり感も疲れにくさにつながるひとつの要因というわけだ。一方、コンパクトクラスでも疲れにくいクルマもある。一例として電気自動車が挙げられ、ボルボEX30、日産リーフもシートのよさや電気自動車ならではの静かさ、低重心パッケージによる安定感の高さもあって、個人的には長時間の運転でも疲れなかったのである。

 以上はあくまで一般論、筆者の印象。すでに述べたように、”相性のいいシート選び”からスタートするのが運転していて疲れないクルマ選びのポイントだろう。それが叶わなければ、どれだけ静かで乗り心地のいい、直進性に優れ、運転支援機能が充実したクルマでも、運転していて疲れるクルマになってしまうかもしれない。

 そして運転疲労の少ないクルマは運転に集中しやすくなって安全につながり、ドライブ先に到着後も元気ハツラツでいられるなどのメリットもある。とはいえ、静かじゃなくても、乗り心地がすごくよくなくても、運転が楽しい、走って気もちいいクルマは、クルマ好きにとっては汗をかいて、アドレナリンを逆流させて走りまわっても疲れを感じさせなかったりするんですけどね。筆者が若かりしころに乗って日常でも味わえるスポーツドライビングを楽しみ尽くした初代ユーノス・ロードスターがそうであったように……。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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