この記事をまとめると
■パワー・ウエイト・レシオは車両重量を出力で割った加速性能の指標である
■ホンダS800とトヨタS800は数値上差がありつつもレースで好勝負を展開した
■軽量性や空力特性が速さを左右し総合性能の調和が重要となる
クルマの加速力を掴む指標のひとつ
パワー・ウエイト・レシオとは、出力と車両重量の比という意味だ。単位は、kg/PSになる。1馬力で何kgの重さを動かすことになるかという指標と解釈すればよい。これはクルマの加速に関係する数値だ。同じ馬力でも、車両重量が重くなれば加速は鈍る。逆に軽いクルマは加速がよくなる。
このクルマは速いというとき、性能で注目されるのは一般にエンジンの馬力(PS)の大きさだ。電気自動車ならモーター出力となり、キロワット(kW)で示される。近年は、エンジン出力もPSではなくkWで表記されることがある。これは世界的に単位が統一されたからだが、エンジンの場合はPSのほうがなじみが深く、性能の良し悪しもわかりやすくはある。
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ちなみに、1馬力は0.735kWと換算できる。100馬力なら、73.5kWになる。いずれにしても、車両重量を出力で割った数値が、パワー・ウエイト・レシオである。これは一般の乗用車で10~15kg/PS程度であり、高性能車になると5kg/PS前後になるだろう。
ところで、かつて1960年代のライトウエイトスポーツカーに、ホンダS800とトヨタ・スポーツ800というクルマがあった。800の数字が示すように、どちらも排気量800ccのガソリンエンジンを搭載する2人乗りのスポーツカーだった。
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しかし、エンジン諸元を見ると、ホンダS800のエンジンは最高出力が70馬力で、当時としては相当に高性能なエンジンだった。それに対し、トヨタ・スポーツ800のエンジンの最高出力は45馬力でしかなかった。ホンダS800の3分の2程度でしかない。
そのような大きな差が生じた理由は、ホンダS800のエンジンが直列4気筒のDOHCで、今日につながる高性能エンジンの要素を備えていたのに対し、トヨタ・スポーツ800のエンジンは水平対向2気筒のOHVという、エンジン形式としては独自性があるが、バルブ駆動は当時のごく普通の乗用車用エンジンと変わらぬ機構だったためだ。