この記事をまとめると
■2025年9月の新車販売はホンダN-BOXが首位を堅持するとともにトヨタ車も上位を独占
■半期決算セールなどの販促キャンペーンは勢いを失い販売現場の値引き余力も縮小している
■納期正常化とコスト上昇によりかつての「駆け込み商戦」は終焉を迎えつつある
首位を堅持したN-BOXもウカウカしていられない状況
毎年9月は事業年度(4月から翌年3月)締めでの上半期(4~9月)末となり、半期決算セールとして各メーカーが大々的に販売促進キャンペーンを展開し、事業年度末セール(2月・3月)に次いで買い得な条件で新車が購入できるタイミングとされてきた。
2025事業年度締めでの半期決算セールはどうかといえば、それっぽい販売促進キャンペーンを大々的に展開したのはホンダぐらいであった。国内販売トップのトヨタをはじめ、ここのところは諸般の事情で受注から納車まで登録車では一般的に順調であっても2~3カ月ほどかかるようになってしまったので、半期決算セールのような期間を限ったお買い得セールが新車販売現場ではなじまなくなってきているのである。
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また、諸物価や人件費高騰により、値引き原資となるディーラー利益の圧縮も顕著となり、年間を通じても車両価格からの値引きに目立った変動はなく、さらにオプションからの値引きも車両と同じく製造コストが上がっていることもあり、過去のようにガバっと値引きもできなくなっている。中古車価格の上昇もあるので下取り査定額に多少の色がつく程度となっていて
、なかなか盛り上がらないというのもまた事実のようだ。
そのなか、自販連(日本自動車販売協会連合会)から登録車、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)からは軽自動車のそれぞれ2025年9月単月締めの車名(通称名)別新車販売ランキングが発表された。
販売トップとなったのは2万1717台を販売したホンダN-BOXとなっている。2025年になってから単月締めでN-BOXが2万台以上の販売台数を記録したのは3月に次いで2回目となっている。相変わらず「日本一売れているクルマ」の地位は堅持しているものの、3代目となってからは販売台数にも陰りが見えてきている。
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そうはいっても販売台数が極端に見劣りしているわけでもないのだが、その内訳に含まれる自社届け出車両(ディーラー名義などでナンバープレートを在庫車につけただけの車両[そのまま届け出済み未使用中古車として流通する])の割合が目立って増えているとの話もよく聞くようになっている。2位のスズキ・スペーシアとの差は5000台あるが、そのすべてが自社届け出とはいわないものの、半期決算ということで自社届け出での積み増しもあっての2万台突破で9月もトップになったといっていいだろう。
3位は登録車となるヤリス(含むヤリスクロス)となっているのだが、本稿執筆時点(10月上旬)に調べてみると、ハッチバック、クロスともに新規受注停止となっている。そのなか総合で3位、登録車でトップというのはバックオーダーの消化を進めたことや、レンタカーもその程度はわからないものの9月末に新規登録を行ったハッチバックがあったりするので、フリート販売も貢献しているように見える。ちなみに登録車のみのランキングでは上位10車のうちトヨタ車が7車入っている。
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ホンダ・フリードと日産ノートはトップ10車の常連だが、11位近辺(トップ10にギリギリ入れていない)によくランクインしているセレナがトップ10内に入っている。セレナはしばらく先になるようだが改良を予定しているとのことで、今後オーダーストップへ向け生産台数の絞り込みが入りそうとの情報も入っている。現状では納期は1カ月半から2カ月とかなり早くなっているので、半期決算に可能な限り売りまくっていたようである。