この記事をまとめると
■かつて「ガソリンタンクに角砂糖を入れる」といういたずらがあった
■砂糖はガソリンにほとんど溶けず底に沈む性質なのでエンジンが焼き付くことはない
■燃料系ではフィルター詰まりやポンプへの負荷が最大の懸念となる
実際のところ即座に壊れはしないが……
「いじわるされたら、その仕返しにソイツの愛車の燃料タンクに角砂糖でも入れてやれ! そうしたらガソリンに溶けた砂糖でエンジンが焼き付くぞ」といった話を聞いたことがある人はいるだろうか。
この話の元ネタは、第二次世界大戦で行われたレジスタンスの破壊工作だったといわれている。で、実際のところ、ガソリンタンクに砂糖が混入するとどうなるのか?
結論からいうと、少なくとも現代のクルマなら焼き付く心配はほとんどない。
その論拠を順番にみていこう。まず砂糖は常温では固体であること。そして砂糖はガソリンよりも密度は高い。したがって、燃料タンクに砂糖を入れたとしても、それらは底に沈んでしまうことになる。そして、砂糖はガソリンに溶けない。おまけに、砂糖は砂糖単体では非常に燃えにくく、通常それ自体では燃えることはない。
ティー・ロワイヤルやカフェ・ロワイヤルでティースプーンにのせた角砂糖を燃やすのは、角砂糖にブランデーを染み込ませていて、そのアルコール分が燃えるからだ。
カフェ・ロワイヤルで角砂糖を燃やしているイメージ画像はこちら
というわけで、溶解していない砂糖が万が一燃料経路に入ったとしても、フューエルフィルターに引っ掛かるので、まず燃焼室にはたどり着かないと考えていい。
仮に、少量の砂糖の粒子がフューエルフィルターを潜り抜け燃焼室まで入り込んだとしても、オイルなどと混ざってカーボンスラッジになる程度で、エンジン本体に大きなダメージを与える心配はないだろう。ただし、フューエルフィルターやインジェクターを詰まらせたり、燃料ポンプにストレスを与える程度の影響を生じさせる可能性はゼロではない。
燃料フィルターのイメージ画像はこちら
ディーゼルエンジンであっても、基本は同じ。砂糖は軽油には溶けないので、燃料タンクの砂糖を入れたとしても、砂糖はタンクの底に沈殿するだけ……。
このように、砂糖が燃料タンクに入ったとしてもエンジンブローに直結するとは考えられないが、燃料タンクに異物が入ることは極力避けたいことなので、いたずらや意趣返しなどで行うことは厳禁。レジスタンスではないが、発覚すればテロ行為・犯罪行為とみなされても仕方がない。