この記事をまとめると
■ブガッティは既存部門を超える新計画として「ビスポーク・ソリテール」を立ち上げた
■第1弾となるワンオフ車ブリュイヤールは歴史的馬名に由来し独自のデザインをもつ
■W16エンジン最終モデルの位置づけとなり推定20億円超の価値が付くとみられている
ブガッティが作る「究極の一点物」
ブガッティにはこれまで、カスタマーの特別なオーダーに応えるビスポーク部門の「シュール・ムジュール」が組織されていたが、この度それを超えるウルトラプログラムとなる「ビスポーク・ソリテール」が誕生した。
ちなみにビスポーク・ソリテールで製作されるのは、ブガッティの豊かなコーチビルディングの伝統を最新技術によって現代に継承したモデル。かつてブガッティは、自らタイプ57のシャシーをベースに「SCアトランティック」や「ガブリエーレ」、「ステルヴィオ」、「ヴァントゥー」、「アタランテ」といった数多くの自社製ボディを組み合わせた、多彩な作品をカスタマーに提供してきたが、ビスポーク・ソリテールが狙うのは、まさにその再現にある。
ブガッティのビスポーク・ソリテール画像はこちら
そのビスポーク・ソリテールからの第1弾として先日発表されたのが、ここで紹介するワンオフモデルの「ブリュイヤール」だ。霧の意をもつブリュイヤールとは、ブガッティの創始者であるエットーレ・ブガッティの馬への深い愛情と、そのなかでもっとも愛したという一頭に由来する車名で、それは彼が称賛したすべての要素、すなわちスピード、美しさ、そして比類なき優雅さの体現者であったとされる。
ブリュイヤールのエクステリアデザインは、このような歴史的な経緯からもわかるように、ブガッティ自身によって描き出されたものだ。「W16ミストラル」や「トゥールビヨン」のデザインアイコンを採り込みながらも、それとはまったく異なる独自のスタイルが与えられたブリュイヤールのボディは、実際にそのデザインを担当したディレクターのフランク・ハイル氏によれば、簡素さのなかに複雑さを求めたものであるといい、同時に現代の最高水準にあるハイパーカーとしての機能性、運動性能とともに、芸術作品としての美しさを両立させたものだという。
ブガッティ・ブリュイヤールのフロントスタイリング画像はこちら
たしかにそのボディには、ボディサイドのCラインなど、シロンのそれをイメージさせる造形も認められるものの、キャビンはよりコンパクトなデザインになり、ルーフやエンジンカバー、リヤフェンダーとリヤウイングが織りなす有機的でダイナミックな曲線は、いかにもワンオフという究極のブガッティに相応しい美しさ、そして優秀なエアロダイナミクスに象徴される機能美を醸し出しているのがわかる。
グリーンを基調としたボディカラーには、ボトム部にダークトーンを採用。それが独特な軽快感を生み出しているのもまた見逃せないところである。
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