そういえば「丸」と「四角」があるけどなぜ? トンネルの断面形状はどう決まる

この記事をまとめると

■トンネルには丸い形状のものと四角い形状のものが存在する

■山間部のトンネルでは荷重分散に適した丸形工法が採用される

■浅い地中や水中では立方体構造物を使うため四角い入口になる

見た目の違いに隠れた工法の差

 道路に造られたトンネルは、丸いつくりもあれば、四角いつくりもある。それらは、トンネル入り口の形で見わけられる。では、丸いトンネルと四角いトンネルと、なぜ種類があるのか。

 目的が異なるのか。高速道路などで山間の地域に造られるトンネルの多くは、半円形をした丸い形状ではないだろうか。その場合は、道路計画のある山のなかの通路となるべきところを火薬で崩し、掘削して掘り進み、内側に鋼の壁をつくっていく。この鋼の壁が円形をしている。理由は、高圧ガスを保管するなど圧力容器と同じように、山の重みが一カ所に集中しないよう分散するためだ。それには丸い形状が好ましい。

 そのうえで、複数車線となるような幅の広い道路では、天井や側面に平らな壁を設けているため、我々の目には四角いトンネルに見える場合もあるだろう。

 山ではなく、海や川の下を通るトンネルの場合も、基本は丸い形状だ。シールドマシンと呼ばれる円筒形の掘削機で掘り進み、内側に輪の形をした補強部品を組み合わせながら壁をつくっていく。

 地面から比較的浅い部分にトンネルを設ける場合は、四角い立方体のトンネル構造物を埋め、その上に支柱を立てたり土で埋めたりするので、この場合はトンネルの入り口が四角くなる。

 海底や川底の下ではなく水中にトンネルを設ける際は、同じように四角い立方体の構造物を船で運び、水中に沈めてつくるので、この場合もトンネルの入り口は四角になる。

 トンネルをつくる場所や、トンネルの構造部に外から加わる力の加減、あるいは土を掘るか水に沈めるかなど周辺環境の違いによって工法が異なり、それらによりトンネルの入り口の形が丸かったり四角かったりする。

 それとは別に、丸いトンネルの入り口で、竹を斜めに切り落としたような傾斜したつくりとなっている場合がある。これは、トンネルの構造というより、運転者への圧迫感を和らげる心理的効果を狙っている。

 たとえば日中トンネルに入る際、まわりの明るさに比べトンネル内は暗く、また道路の幅も狭く感じやすいため、運転者を緊張させやすい。そこで、トンネルの入り口を斜めにすることにより徐々に暗闇へ入っていく状態にすることで、暗さや狭さなどへの対応をしやすくしているのである。

 心理的な圧迫を入り口の形状でやわらげたり、トンネル入り口の照明を明るめにしたりすることは、運転者の緊張を抑え、トンネル前で無闇に速度が落ちてしまうことによる渋滞発生の要因を緩和することにも役立つだろう。


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御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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