この記事をまとめると
■空飛ぶクルマはクルマという名前だが実際は人が乗れるドローンのような姿だ
■離発着する場所をどうするのかが現在議論されている
■IHIは離発着を行うバーディポートを3種類提案している
空飛ぶクルマってどこで乗り降りすんの?
近年、なにかと話題になっている「空飛ぶクルマ」。モビリティショーや大阪・関西万博などで、その雄姿を目にした人も多いのではないだろうか。とはいうものの、なぜあれが「クルマ」と呼ばれるのかは不思議である。
空飛ぶクルマのイメージ画像はこちら
かつて、SF漫画では盛んに「エアカー」なるものが登場していた。これはエアー(なんらかの気体)の噴射によって地上からわずかに浮上し、道路あるいはチューブ状の高架道路を疾走する空想上の乗り物だ。これなら浮上しているとはいうものの、地面に近いから「クルマ(カー)」といってもよいだろう。
しかし、「空飛ぶクルマ」はその名のとおり空を飛び、その地上高度は100mを超える。ドローンを大きくしたような形をしており、プロペラを使用して浮上・飛行する。いうまでもないが、適用される法律は道路運送車両法などではなく、航空法になるのだ。誰が見ても、飛行機やヘリコプターの仲間としかいいようがないだろう。
とはいうものの、ふたり乗り・巡行距離30km程度の機種であれば、機体は約6m四方に収まるサイズで、高さは2m程度。速度は100㎞/h前後である。このスペックなら、「クルマ」と呼べないこともない。いずれにせよまだ実験段階であり、法整備も済んでいない。あくまで、未完成の近未来モビリティなのである。
空飛ぶクルマのイメージ画像はこちら
ただ、地上を走らないのであれば「いったいどこで乗り降りするか?」ということは、誰もが抱く疑問である。これまで、機体は各所で公開されてきているし、デモンストレーション飛行も行われており、その際には特設発着場が設けられてきた。それでは、実用化したときにはヘリポートや飛行場を使用するのであろうか。
「空飛ぶクルマ」の離着陸場は一般にバーディポートと呼ばれているが、じつはその詳細は検討されている最中だ。デモ飛行などの際には、ヘリポートや臨時に認められた広場などが使用されている。そんな背景から、重工業のIHIはこのバーディポートについて、以下の3種類を提案した。
・バーティストップ
数台の機体を運用する、もっとも小規模なタイプ。離着陸場と格納庫(機体の充電・点検を実施)を備える。
バーディストップのイメージ画像はこちら
・バーディポート
地区拠点となる離着陸場。10台程度の運用を想定し、定期運行・観光・ビジネスなど多様な需要に応えるために、さまざまなタイプの機体を扱う。
バーディポートのイメージ画像はこちら
・バーティハブ
空港・港湾・地上交通ターミナルなどといった、ほかの大型モビリティ施設に隣接した地方拠点になる離着陸場。機体搬送用のパレットを用いて多くの機体を扱い、高頻度・高密度な運用を行う。
バーティハブのイメージ画像はこちら
イメージとしてはバスターミナルのように、複数の機体が利用する公共のスポットといったところであろうか。「空飛ぶクルマ」がどのように展開されていくかは不透明な部分も多く、自動車のように個人所有ができるようになったとしても、自宅の屋上に駐機場を設置するというのは、まだハードルが高いようだ。
空飛ぶクルマの発着場のイメージ画像はこちら
意外なことに、「空飛ぶクルマ」は「クルマ」でありながら地上での移動が苦手なものが多い。そこで、バーディポートでは飛行機のトーイングカーのような、移動を補助する装置が必要になってくる。そのため、パレット式・動力を用いた牽引式・手動式などといった装置が検討されているのだ。
このように、機体や駐機場などは実用化に向けて着々と開発が進んでいる。今後の法整備次第ではあるが、「空飛ぶクルマ」が自由に空を飛びまわるようになるのも、そう遠い話ではないのかもしれない。