この記事をまとめると
■フォルクスワーゲン・ティグアンは日本では貴重なクリーンディーゼル搭載SUVである
■最新TDIエンジンは排ガス低減技術と高トルクを両立し走行性能と安定性に優れる
■一方でトップクラスとはいえない燃費や価格や乗り味の硬さなどには課題も感じられる
電動化時代に残る“素”のディーゼル
フォルクスワーゲンのミドルサイズSUVであるティグアンは、日本市場において数少ないクリーンディーゼルSUVとして独自の立ち位置を築いてきた。現行モデルでは、2リッターTDIエンジン搭載車の全グレードに4MOTION(フルタイム四輪駆動)を標準装備し、ディーゼルの特性を最大限に活かす構成としている。
日本市場ではガソリンモデルに加え、2リッター直列4気筒ディーゼルターボ「TDI」を設定し、ハイオク仕様のガソリンエンジン車に対し、安価に購入できる軽油を使用するディーゼルモデルは燃料代が節約できる理由もあり国内では需要が大きいのだ。
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現行モデルでは、パサートと並び全ディーゼルグレードにフルタイム四輪駆動の4MOTIONを標準装備し、トルクフルなディーゼル特性を最大限に活かし、走行性能、悪路走破性、操縦安定性などに優れている点が人気を下支えしている構図となっている。
今回、そのティグアンTDI 4MOTIONに、九州は宮崎県の一般道および高速道路、ワインディング路で試乗する機会を得たのでリポートしよう。
ディーゼルエンジンの本質は、低回転域から最大トルクを発生する点にある。ティグアンに搭載される2.0 TDIは、最高出力約193馬力、最大トルク400Nmを発揮し、2000rpm以下から力強い加速を可能とする。コンパクトカーとしてもっとも人気の高いゴルフが、そのディーゼルエンジン搭載車においては150馬力を最高出力としているのに対し、大幅な出力向上を果たしていることがわかる。
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技術面で注目すべきは、搭載されるEA288 evo世代に進化したTDIエンジンが採用する排出ガス浄化システムだ。最大の特徴は「ツインドージングSCR」の採用である。SCR触媒をエンジン近傍とアンダーボディ下流の2か所に配置し、排気温度に応じてAdBlue噴射位置を切り替える構成とした。
エンジン始動時の低音状態では排気上流の触媒を用いて浄化性能を始動初期から実現。排気温度が200~350℃の最適領域では下流触媒を使用し、高効率なNOx還元が可能となり、従来比で最大約80%のNOx低減を実現している。
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さらに、低圧EGR(排気再循環)システムを組み合わせ、ターボ下流から排気ガスを再導入することで、燃焼室内の酸素濃度を下げ、燃焼温度の上昇を抑制。これによりNOx生成そのものを抑えつつ、ターボレスポンスへの悪影響も最小限に留めている。燃料噴射系には最大2000barの高圧コモンレールを採用し、1燃焼サイクルあたり最大9回の分割噴射を行うことで、燃焼圧の急激な立ち上がりを防ぎ、PM低減と静粛性向上を両立している。
こうした改良により、圧縮比は16:0と従来より低下しているにもかかわらず、出力と燃費性能は向上している点もEA288 evoの特徴だ。理論効率と実用性能を両立させるための、地道なアップデートの積み重ねが見て取れるのだ。
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