夜の運転「対向車のライトが眩しい問題」は気のせいじゃなかった! LED化だけじゃない3つの背景 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■最近のクルマにおけるヘッドライトが眩しいと巷で話題になっている

■背景にはLEDを利用した高性能なヘッドライトが普及したことが挙げられる

■自動車メーカーや国は眩しいヘッドライトに対する対策を随時行っている

眩しすぎるヘッドライトが増えている理由とは

 夜間にクルマを運転していて、対向車のヘッドライトが眩しいなと感じることが増えたと思いませんか?
これについては実際、ユーザーへのアンケートでも数値として表れているようです。ここでは、そのヘッドライト眩しい問題の実情と原因、そして関係各所の取り組みについて少し掘り下げてみましょう。

■最近のクルマのヘッドライトが眩しいという声を聞くようになった

 実際のところ、筆者もそのまわりの人たちも、夜間に運転していて、対向車のヘッドライトが眩しいと思う場面が多くなったと感じています。以前はハイビームからの切り替え忘れが多い印象でしたが、昨今はハイビームほど上向きではないのに、眩しさを感じるケースが多くなっています。

 これはデータにも現れています。

 JAFの機関誌「JAF Mate」誌が2021年ごろに行った読者アンケートでは、「夜間、ヘッドライトのハイビームを眩しいと感じたことはありますか? 」という質問に対し、96%の人が「はい」と答えています。
その眩しいと感じた状況としては、走行中、交差点で信号待ち、後続車などのヘッドライトがほとんどを占めています。

 また、日産の「交通安全未来創造ラボ」が行った独自調査では、「夜間、対向車のヘッドライトがまぶしいと感じることがありますか?」との質問に対して、「頻繁にある」の回答が13.4%と少数ですが、「時々ある」と回答した人が69.0%と過半数あり、両方合わせると約8割の人が眩しいと感じた事があるということになります。

 ちなみにこの傾向は海外でも見られ、2026年3月に米国のAAA(American Automobile Association=アメリカ自動車協会)が、会員1092人を対象に行った調査では、「夜間のヘッドライトの眩しさが問題だ」という項目に対して、60%が「YES」と回答しています。

 つまり、身近なところだけでなく、これは世界的に交通シーンで問題視されているといえるでしょう。

■国土交通省もこの問題については以前から取り組んでいる

 国土交通省では以前から、クルマのヘッドライトが対向車に与える被害を認識していました。実際に、2006年の新車から2000ルーメン以上の明るさをもつヘッドライトを備える場合は、オートレベリング機能を備えなければならない、というお達しを出しています。

 しかし、そのあとの2012〜2022年の10年間で集計した事故要因のデータで、「ヘッドライトの眩しさにより、周囲の自動車等の発見が遅れ、事故に繋がった」というケースが300件以上発生しているということを受けて、2024年には「光源の輝度にかかわらず、レベリング装備を必要とするすべての自動車に備えることとする」と、オートレベリング機構搭載車の適用範囲を大幅に拡大しています。

 つまり、積載量の変化や車両の状態変化による光軸の上向きを極力減らすよう、継続して取り組みを行っているようです。

■ヘッドライトの眩しさの原因

 これについてはいくつかの要因が考えられますが、もっとも大きな要因として考えられているのがLED光源への移行です。

 LED光源の特徴として、明るくて電力消費が少ないという点を挙げる人が多いと思います。

 少し前まで主流だったハロゲンバルブ式の光量は、多くて2000ルーメン程度でしたが、LED光源は5000ルーメン以上と、倍以上の光量を発生します。また、照射範囲の縁まで明るいという点もあります。ハロゲンの場合はぼんやりとした光が届いていた部分も、LEDではくっきりと照らすようになるようです。加えて、光の色温度が高いという点も影響しているようです。ハロゲンの場合は色温度が3500K(ケルビン)程度なのに対して、LEDは6000K以上というケースが多くあります。

 色温度が高いほうが白っぽい光となり、対象物が認識しやすい傾向があるといわれています。部屋の照明で、白熱灯より蛍光灯の方がより自然に見えるとされているのと同じです。この白色光は、人の目に明るいと感じさせるとともに、空気中で拡散(グレア)するという性質があるようです。

 これを先ほどの照射範囲のエッジ付近で考えると、より強くて明るく感じる光が周辺部分までくっきりと照らし、さらに拡散するので、これまでと同様に照射部分をカットしていても眩しさを感じてしまう傾向が高い……のではないか、といわれています。

 また、光源の問題とは別に、照射方向を示す光軸のズレが問題になっているケースもあるようです。

 先のデータにもあるように、以前から積載量やサスペンションのへたりなど、車両の状態の変化によって後方が下がり、結果として光軸が上向きになっているケースが問題視されていました。光軸については車検で確認されますが、検査では1名乗車の状態のため、実際の使用状況次第では光軸が上向いてしまうこともあります。

 それに対して国土交通省は、オートレベリング機構の採用を義務づけるなど、対策を講じてきました。
インパネのステアリングの付け根の右側によくある、光軸調整ダイヤルの装備が増えているのもその一環でしょう。

 ただし、過積載や整備不良、またはダイヤルの操作不足や間違いなどの要因で、この機構が想定どおりに稼働しておらず、光軸が調整し切れていないケースがあるようです。ちなみにこの問題には、安価で入手できるようになった社外品の影響も無視できません。

 純正のバルブや正規の互換品であれば、開発時の設計どおりに光源の位置が確保されていますが、安価で入手できる低コストで製造された製品のなかには、光源の位置や構造が設計要件から外れたものもあり、そうと知らずに装着した車両が光軸がズレたままで走行しているというケースが問題視されて、話題になった時期がありました。「社外LEDは車検に通らない」と囁かれたのも根っこは同じです。

 そして、SUVの人気増加や安全性確保などの要因により、車体前方の高さが相対的に高くなっているという点も大きな要因です。

 同じ高さ同士であれば問題になる可能性は低いのですが、SUVのヘッドライトをセダンやスポーツカー目線で見た場合、眩しさを感じやすい位置関係が生まれてしまいます。そのヘッドライトが明るければ、その影響はさらに大きくなります。


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往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

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スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
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釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
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