この記事をまとめると
■第21回上海国際モーターショーではアメリカンブランドのブースも賑わっていた
■中国でもっとも存在感を放っているアメリカンブランドはビュイックだ
■中国臭が強くなりすぎたとアメリカではビュイックを敬遠するひともいる
上海国際モーターショーではアメリカンブランドにも人だかり
いわゆる「トランプ関税」により世界に激震が走っている。現状は暫定措置で10%となっているが、日本も日本からアメリカに自動車や自動車部品、鉄鋼製品とアルミニウムを輸出する際には25%が課せられる。前出製品以外のすべの製品をアメリカへ輸出する際、追加関税を加算すると24%が課税される。
しかし、中国に対する課税率は一時ハンパではないものとなった。最大245%をトランプ大統領は課税するとした。一方の中国も黙っているわけはない。アメリカに対し最大125%の関税を課すとした(いまはお互い関税率は大幅に下がっている)。
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そのような貿易戦争中に開催された、第21回上海国際モーターショー(上海国際汽車工業展覧会)を訪れた。アメリカンブランドもブースを構えていたが、意外なほどどのブランドも地元中国のひとでかなりにぎわっていた。
とくに何か政治的アピールをするといった目的があるとかではなく、普通に展示されている車両を見て盛り上がっていた。
上海国際モーターショーのキャデラックのブース画像はこちら
中国でアメリカンブランドといえば、圧倒的にビュイックの存在が際立っている。はっきりいって本国アメリカではパッとしないというか、存在感が薄いのだが、中国では「アメリカ車=ビュイック」というぐらい、コロナ禍となり外資ブランド全体が劣勢となっているなかでも存在感を見せている。
そんなビュイックを支えているのがミニバンのGL8である。ひとりっ子政策がなくなって久しいが(2016年撤廃)、撤廃から10年も経っていないためその影響はいまだ残っているものの、中国は日本を抜く勢いで少子高齢化が進んでいる。つまり、とくに都市部では子だくさん家族はほぼ存在しない。日本のような「ミニバン=ファミリーカー」という固定観念は薄いといっていいだろう。
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初代GL8はまだひとりっ子政策が残っていた1999年に初代がデビューしている。日本では「ファミリーカー=ミニバン」となっているが、中国ではファミリーカーというよりは、企業幹部の移動車的需要が目立ち、とくに大型でGL8のようなラグジュアリームードのあるミニバンは高級商務車とも呼ばれている。
ビュイックGL8のフロントスタイリング画像はこちら
ただし、このGL8は中国での上海汽車とGM(ゼネラルモーターズ)の合弁会社となる上汽通用(上海GM)で生産され、中国でのみ販売されているので、アメリカではラインアップされていない。
アメリカではミニバンはすでに生活臭が強すぎるとして、多くのママは3列シートをもつミドルもしくはフルサイズクロスオーバーSUVで子どもをサッカーなどへ送迎するのがトレンドなのだが、そのなかでもビュイックはアンクレイブという高級フルサイズミニバンがいまもなお看板車種となっている。