【燃料電池車】MIRAIとクラリティは無改造で航続距離50km伸びるワケ!?

燃料電池車両の航続距離のカギはタンク容量と許容圧力!

 トヨタに遅れること1年4ヶ月、いよいよホンダの燃料電池車亮であるクラリティが発表された。気になるのは、トヨタのMIRAIとホンダのクラリティの航続可能距離の違いだ。MIRAIは650km、クラリティは700kmとなる。だが、両車とも無改造のままでしばらくすると各車ともに航続距離が50kmずつ伸びるというのだ。WEB CARTOP

 ホンダの燃料電池車「クラリティ フューエルセル」は正式に発表されたばかりだが、その事前情報として水素タンクの基本スペックが発表されたときに驚いたことを思い出す。それまでホンダの燃料電池車においては水素タンクの圧力は35MPaとしていたのに対して、クラリティもトヨタMIRAIと同じ70MPaとしていたからだ。

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 圧力を高めるほど、水素タンクに要求されるスペックも高くなり、また水素ステーションで充填する際に使用するエネルギーも大きくなるというネガがあり、それを嫌ってホンダは35MPaの水素タンクを選択していたという記憶があったからだ。もちろん、インフラ整備を考えると、メーカーごとのエンジニアリング的な主張はともかく、トヨタもホンダも70MPaに共通化したという英断は評価すべきだ。

 とはいえ、じつは次のステップとなるさらに高圧な新規格・水素ステーションがその出番を待っているのも事実。2016年度以降に運用予定の新規格・水素ステーションでは82MPaへ、さらに高圧化される。圧縮水素タンクの性格から、圧力を高めれば充填できる水素は増え、航続可能距離も伸びることになる。WEB CARTOP

 2つのタンクを合計して122.4Lを積むトヨタMIRAIは、満充填での航続可能距離が70MPaでの650kmから82MPaでは700kmに伸びる見込み。そして、ホンダ・クラリティ フューエルセルは同じく750kmから800kmへと伸びるとされている(いずれも各メーカー調べ)。

 航続可能距離を伸ばすのにタンク容量が大きいほど有利というのは内燃機関の感覚でも納得できるだろうが、充填する際の供給圧力を高めることで燃料(水素)の量が増えるという要素も加わるのが燃料電池車の世界なのだ。考えてみれば当たり前のことだが、こうした点をとっても、内燃機関とは違う感覚が求められるといえそうだ。WEB CARTOP

 ちなみに、トヨタMIRAIの樹脂タンク、ホンダ・クラリティのアルミタンクともに、最高充填圧力としては87.5MPaまで対応している。水素ステーションの規格次第では、伸びしろを残しているといえそうだ。

 【詳しくはこちら】

 トヨタ自動車お客様相談センター MIRAIについてのご質問

http://toyota.jp/faq/car/each-model/mirai/0027.html

  


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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