【今さら聞けない】クルマのバッテリーの役割とは?

バッテリーが完全に上がるとエンジンの始動ができないことも

 電気自動車(EV)を除き、自動車にはガソリンや軽油で動くエンジンが搭載されている。これが動力となってクルマが走ることは誰でも知っているだろう。

 それと同時に、ヘッドライトやパワーウインドウ等に代表されるいろいろな電装部品用として、バッテリーが搭載されていることも、多くのひとが知っているハズだ。ガソリン等、燃料の補充は誰もが気にしているが、意外とバッテリーを気にしている人は少ない。じつはこのバッテリーに不具合があるとクルマは走ることができないのだ。それぐらい重要なバッテリーの役割について考えてみたい。

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一番重要なのはエンジンを掛けるという行為。キーをひねったり、スタートボタンを押すと、スターターモーターによってエンジンを回転させ(クランキング)始動する。大昔のクルマは外から手動でエンジンを回して始動していたが、今は電気の力を使ったモーターを使うため、バッテリーに不具合があると、そもそもクルマは動くことができない。

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ではハイブリッド車は? 大きな駆動バッテリーを積んでいるが、じつはほとんどのクルマが、システムの始動に補機バッテリーを使用している。つまり駆動バッテリーがいくら充電されていても、通常のエンジン車と同じようにシステムが起動できず走り出せないのだ。

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始動に関していえば、今のクルマは燃料噴射量など、さまざまなものがコンピュータ制御されている。ここにも電力がなければエンジン始動ができないことになる。

 エンジン始動後は、エンジンの力を使ってオルタネーターという発電機を回して電力を生み出す。これにより走行中、ガソリンに着火するためのプラグへ電力を供給したり、ヘッドライトの点灯、ワイパーを動かしたりする。もちろん、この電力がバッテリーの充電にも用いられるのだ。

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しかし、今どきのクルマは電装品が多い。ナビゲーションシステムや、ハイパワーなオーディオ、インテリアのイルミネーションにも電力が必要だ。また、ハイブリッド車などの駆動バッテリーの電力を使う電動エアコンを除き、エアコン自体はエンジンの力でコンプレッサーを作動させるが、風を送るブロワーは電気モーターを使用する。夏場はとくにバッテリーに苛酷といわれるのは、このエアコンの風を送るための電力消費が多いからだ。


つまり、例えばこれからの暑い季節で夜間の雨天時などは、ヘッドライトにフォグランプ、ワイパー、エアコンを同時に使用することになり、ここにハイパワーのオーディオなどを鳴らすと、オルタネーターの発電電力では不足することがある。このとき、バッテリーから電力を補って電装品を稼働させるのだ。この状態が長く続けば、当然バッテリーの充電は減る一方、バッテリー自体の劣化にも繋がる。

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また、最近多いアイドリングストップ車の場合、信号待ちでエンジンが停止する。このときのヘッドライトやワイパー、ナビやオーディオ、エアコンの送風などは完全にバッテリーだけの電力で稼働するのだ。もちろん、アイドリングストップ車にはストップする条件があり、その中にはバッテリーの状態が含まれる。つまり充電が少ないときには停止してもストップはしない。

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もうひとつ、重要な役割がバックアップだ。イグニッションをオフにした駐車時でも、時計やオーディオ類の設定、さらに現代のクルマはエンジンを制御するコンピュータもエンジンの状態などをメモリーし、燃料噴射などを調整している。バックアップにはバッテリーの電力を使用しているので、完全にバッテリーが上がると、リセットされてしまうのだ。

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このように、エンジンで動く自動車でもバッテリーは重要な役割を担っている。タイヤや灯火類と共に、日頃から状態をチェックし、安全な運行をしてほしい。


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