【業界再編】ダイハツのトヨタ完全子会社化で何が起こる? (2/2ページ)

ダイハツの三井社長は「BMWとMINIのような関係になりたい」

 たとえば、現在もトヨタ・パッソはダイハツによる開発・生産モデルとなっているが、そこにOEM感が生まれてしまうことは否めない。

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 しかし、完全子会社化によって、外部委託感が薄れることは、前述したランドクルーザーがトヨタ車体製であると市場が意識していないことからも想像しやすい。

 ただし、これを逆説的にいえば「ダイハツ」というブランドと、「ダイハツ工業」という企業が必ずしも一体である必要はないともいえる。完全子会社化発表の記者会見においてダイハツ工業の三井正則社長は「BMWとMINIのような関係になりたい」という旨の発言をしている。

 思い起こせば、BMWがMINIブランドを手に入れた当初は、エンジニアリング面での共通性はほとんどなく、初期にはトヨタ製ディーゼルエンジンをMINIが積むといったことさえあった。しかし、いまではBMWにもエンジン横置きのFF車が生まれ、BMWとMINIにおいてプラットフォームの共通化も拡大する未来が見えてくる。

 そうしたイメージを念頭においての三井社長の発言だとすれば、多くのトヨタ小型車をダイハツ工業が開発するという未来像を描いているという風にも理解できる。ただし、開発車両の幅が広がればダイハツ工業だけで生産できなくなるのは自明。

 アクアなどを生産しているトヨタ自動車東日本など、グループ全体の連携が必要となるだろう。そうした新しい関係が、どのように商品力アップにつなげるのか。そうした子会社間のシナジー効果こそがダイハツの完全子会社化に期待されるところだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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