クルマの補機バッテリーをリチウムイオンに載せ替えるのはあり?

信頼できるコントローラーの製品以外はオススメできない

 クルマの燃費を向上させるため、いろいろな方向性で電気が活躍しています。ハイブリッドカーやEVなどは、基本的にリチウムイオンバッテリーが採用されています。

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 一般的なクルマに積まれている鉛バッテリー(鉛蓄電池)よりも、リチウムイオンバッテリーのほうが軽量でエネルギー密度も高く、急速充電も可能というように、高性能なのです。ではエンジンルームのなかにある鉛バッテリーも、リチウムイオンバッテリーに交換したくなりますね。

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 まず鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーの特性を違いを見てみましょう。鉛バッテリーは希硫酸の液体(バッテリー液)に浸かった鉛と酸化鉛の板の間で電流が流れます。その電圧は2Vで、12Vのバッテリーでは6つ、24Vのバッテリーでは12個を直列に繋いでいます。とても安定した性能を出しますが、充放電効率は高くありません。

 また液体を使っているので低温では放電しにくくなるという欠点がありますが、逆に過充電では耐久性が高くなっています。

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 リチウムイオンバッテリーは、プラスとマイナスの間をリチウムイオンが流れるという構造で、その材質などは決まっていません。

 ニッケル水素、マンガン、アルカリマンガン、ニッケルカドミウム(通称ニッカド)など、バッテリーは通常電極やバッテリー液の材質がそのまま呼び名になるのですが、リチウムイオンバッテリーはそうではないんです。だから、その中味は各メーカーによってもさまざまで、特性もいろいろなものが存在しています。

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 そのリチウムイオンバッテリーは充放電を含めてコントローラーが不可欠になっています。つまりコンピュータがバッテリーの状況を判断しながら、外部との電気のやりとりをコントロールする必要があるのです。

 そうしないと出力する電圧が不安定になり、充電する時の効率も悪くなったり、バッテリーの寿命も短くなります。また、異常発熱によって発火するという最悪の結果を招くことになります。

 リチウムイオンバッテリーの発火は、10年くらい前から話題になり、それが定期的に続いています。その原因はバッテリー本体というよりも、コントローラーのソフトウェアが不十分という要因が強いと思われます。まったく同じバッテリーパックのなかでも、特定の機材でだけ発火するということは、そう想像せざるを得ません。

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 というように鉛バッテリーを、そのままリチウムイオンバッテリーに交換することはお勧めできません。しっかりとしたコントローラーが内蔵している信頼できる製品であれば別ですが、レース用に販売されているものをそのまま使うのはリスクが大きすぎます。

 自動車メーカーがオプションでリチウムイオンバッテリーを用意しているなら、コントローラーはクルマ側が持つのでしょうから、安心でしょうね。

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 将来的に補器用の鉛バッテリーがリチウムイオンバッテリーへと移行していくのか? といえば答えは「NO」でしょう。

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 電動化が進んでいるなかで、動力用にリチウムイオンバッテリーがクルマには標準化されるはずだからです。その動力用から電源をもらえばいいわけです。だから補器用バッテリーがリチウムイオンバッテリーに換わることはないと、現状では推測します。

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