メーカー選手権のヒーローたち【ポルシェ917】 (2/2ページ)

ル・マン仕様も用意されたがベースモデルでル・マン24時間を制覇

 69年、先ずは標準ボディの917がデビュー。全長6kmにも及ぶユーノディエールのストレートがあり、よりドラッグレスが要求されるル・マン24時間レースに向けてはテールを伸ばしたLH(ラングヘック:Langheck=ロングテールの意)が投入される。70年にはショートテール仕様がK(クルツ:Kurz=ショートの意)に進化。跳ね上げられたテール部分の処理が、オリジナルの917とは異なっていた。

 さらに71年のル・マンにはワイドボディの917/20が登場。大柄な外観からpig(豚)とのニックネームを授かったが、ポルシェはこれを逆手にとり、ピンクにペイントしたボディの各部に、それぞれ相応する豚肉の部位を表す単語をあしらって見せたのだ。

そんなジョークはさておき、ポルシェが最大の目標としていたル・マン24時間レースでは、デビューイヤーの69年こそ2台ともにトラブルでリタイヤしたものの、70年にはオリジナルのショートテールバージョンをアップデートした917Kが悲願の優勝を達成。ル・マン仕様の917LHがこれに続いて1-2フィニッシュ。さらに3位にもグループ6の908が入り、ポルシェは表彰台を独占している。

 翌71年にはリヤに垂直のフィンを追加するなど、さらにアップデートを重ねた917Kが1-2フィニッシュ。見事2連覇を飾ることになった。ちなみに、ル・マン仕様として開発されたLHは、ポルシェの目論見どおり、最高速/最速ラップではライバルを圧倒したが、70年/71年ともに優勝には手が届かなかった。今回のメインテーマであるメーカー選手権に関しても、908が主戦マシンだった69年に初めてスポーツカー/スポーツプロトタイプカー部門のタイトルを獲得。70年からは917が主戦マシンとなり、71年まで都合3連覇を達成。なおGT部門では68年から75年まで8連覇を飾っている。

 Gulfカラーの#2号車は、2015年の2月にスパ-フランコルシャンのサーキット博物館で撮影した917K。同博物館では70年モデルと表記されていたが、16年の6月に、英国のビューリー国立自動車博物館で見かけた際には71年モデルと表記されていた。

  

 MARTINIカラーの21号車は15年の2月にドイツのポルシェ博物館で撮影した71年モデルの917LH。70年モデルのLHとはリヤのホイールアーチにスパッツが装着されていることが大きな違いとなっている。

  

 同じく、ピンクピッグ(紅の豚)の愛称を持つ23号車は15年の2月にポルシェ博物館で撮影した71年式の917/20。純白のボディにMARTINIストライプが映える22号車は71年式の917KHで、こちらは09年の6月に、やはりポルシェ博物館で撮影。70年式の917Kと最大の相違点はリアフェンダーに装着された一対の垂直フィン。

 そして、前回、フォードGTでも話題になった(?)レプリカ・コーナーだが、シルバーのボディにMARTINIストライプが走る21号車は、2013年の10月に、お台場で行われたモータースポーツジャパンで撮影した917LHi。

 K4-GPを主宰するマッドハウスが、2009年の大会用に自ら製作した1台。末尾のiは、これが三菱i(アイ)のエンジンやさまざまなパーツを使って仕上げられたことからの命名、とのこと。

 (写真提供:原田了、ポルシェ)


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