【意外と知らない】ESCってどんな装置? (2/2ページ)

安全面で絶大な効果を発揮するため国産新型は装着を義務化

 日本では2012年10月以降に発売・フルモデルチェンジしたモデルには装着が義務化されています。継続生産のモデルと軽自動車の新型モデルについては2014年10月以降、軽自動車の継続生産モデルは2018年10月から義務化されます。

 ESCの事故抑制効果については疑いようもありません。コーナーを曲がる時だけでなく、何かを避けなければならない様な急ハンドル時、あるいはミニバンなどの背の高いクルマの横転防止に、極めて有効です。メルセデスが初代Aクラス(1997年)の横転防止のために採用したことでも知られています。

 法令によって装着が義務化されるということは、一定の基準を満たす必要があります。実際にステアリングを切って、クルマが横滑りをし、それを収束させる、というテストが設定されています。ところが運動性能が低くなってしまうミニバンなどでは、ステアリングを切って横滑りを発生させることができず、テストをクリアできないという事態もあったようです。

 ESCユニットを搭載してきたものの、そのままではESCを搭載しているという表示もできず、当然自動車保険の割引の対象にもなりません。現状ではクルマのセッティングを変更することで、テストはクリアしているようです。

 というように、ESCによってクルマのセッティングも変化してきています。例えば前輪駆動車ではアンダーステアコントロールという制御が組み込まれていて、アンダーステアが強く出そうになるとリヤの片側のブレーキを作動させてアンダーステアを軽減するものもあります。

 また後輪駆動車ではアンチスピンコントロールという制御があって、ドライバーの操作でスピンが発生が予測される場合に少しずつESCを作動させます。そして、こうした機能はじつはESCをキャンセルしても無効にならないのが普通です。クルマの運動性能の一部として組み込まれている、というのがその理由です。

 そういう意味も含めて、ESCをキャンセルするというのは全く必要ありません。ESC作動を前提にクルマの運動性能をシャープにしている場合もあるので、キャンセルすると過敏な特性が顔を出すというモデルもあります。雪道などの低μ路で発進が困難な場合以外、キャンセルするべきではありません。

※ESC作動イメージ図(スバル/ダイハツ)


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