【WRC第13戦】トヨタのエース・ラトバラはゴール直前でリタイヤ! 優勝はヒュンダイのヌービル

ライバルの脱落にも助けられてヌービルが今季4勝目を飾る

 2017年のWRC最終戦は、11月16日〜19日にオーストラリア東部のコフスハーバーにて第13戦「ラリー・オーストラリア」として開催。南半球のグラベルステージにて、今シーズンのフィナーレを迎えた。

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 6本の林道ステージと2本のスーパーSSが設定された17日のデイ1で、2台のヤリスWRCを投入した注目のトヨタ陣営は苦しい立ち上がりを強いられた。

「最初のSSでインターコムが故障したので、コ・ドライバーの声が聞こえずに苦労した。同時にフロントのスプリッターも失ったので、ハンドリングに影響が出た」と語るように、エースのヤリ-マティ・ラトバラにトラブルが発生。それでもラトバラはセカンドループで好タイムを連発し、トップから約29.9秒遅れの4番手でデイ1をフィニッシュする。

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 さらにチームメイトのエサペッカ・ラッピも「午前中はパワーステアリングに問題があった」とのことにより、トップから3分27秒遅れの11番手と大きく出遅れることとなった。

 一方、幸先の良いスタートを切ったのは、ヒュンダイでi20クーペWRCを駆るアンドレアス・ミケルセンで、9番手スタートという出走順を生かして計5本のSSウインを獲得。フォード・フィエスタWRCを武器に、前戦のイギリスで、ドライバーズ部門およびマニュファクチャラーズ部門でチャンピオンに輝いたMスポーツのセバスチャン・オジェがパドルシフトのトラブルで8番手に出遅れるなか、ミケルセンがクリーンになったステージで好タイムを連発し、後続に約20秒の差をつけてデイ1を制覇する。

 2番手につけたのはチームメイトのティエリー・ヌービルで、シトロエンでC3WRCを駆るクリス・ミークがヌービルの0.7秒差の3番手でデイ1をフィニッシュした。

 明けた18日のデイ2ではラリーリーダーのミケルセンが、この日のセカンドステージとなるSS10で2本のタイヤをパンクし、そのままリタイヤするなど波乱の展開で幕を明けた。そのなかで安定した走りを披露したのが、デイ1で2番手につけていたヌービル。ファーストループでギヤボックスにトラブルを抱えながらも、脱落したミケルセンに変わってデイ2をトップでフィニッシュする。

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 さらにトヨタのエース、ラトバラも好調で「クルマのバランスは完全だったとは言えないが、それでも良い1日だった」と語るように、SS10でベストタイムをマーク。激しい追走によりトップのヌービルと約20秒差の2番手でデイ2をフィニッシュした。

 3番手でフィニッシュしたのはシトロエンのミークだったが、SS12でサスペンションにダメージを受けていたことから、表彰台を諦めてリタイヤを決断する。この結果、Mスポーツのオット・タナクが3番手でデイ2を走破。一方、ラトバラのチームメイト、ラッピは「今日は先頭からのスタートだったので難しい1日だった」とのことだったが、それでも9番手まで追い上げで2日目を消化した。

 そして計5本のステージが設定された19日のデイ3でもオープニングのSS17で7番手につけていたシトロエンのステファン・ルフェーブルがコースアウトでリタイヤするほか、続くSS18では4番手につけていたチームメイトのクレイグ・ブリーンがロールオーバーを喫し、リタイヤするなど予想外のハプニングが続出した。

 その負の連鎖は最終SSまで続き、SS19でまたしてもアクシデントが発生。そして、そのアクシデントを引き起こしたのが、首位とのギャップを14.7秒まで追い詰めていたトヨタのエース、ラトバラだった。ラトバラは2番手につけながらも「チャンスを求めて全力でアタックした。結果を残すことができなくてチームに申し訳ない」と語るようにSS19でコースアウトを喫し、そのままリタイヤ。その結果、首位のヌービルが余裕のクルージングで今季4勝目を獲得した。

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 2位はタナクで、ヒュンダイのヘイデン・パッドンが3位で表彰台を獲得。なお、ラトバラのチームメイト、ラッピは「最後まで走りきるがことができてほっとした」と語るように6位で完走を果たした。

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廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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